「搾取」という言葉に非常に敏感になった現代社会。
その中でも「やりがい搾取」は、ブラック企業を表すイメージの1つとして、世の中に浸透しました。
誰もが搾取されたくないと思っていますが、実は自分でも気付かないうちに、やりがい搾取をされているかもしれません。
僕自身、以前の仕事でやりがい搾取をされていましたが、当時はそのことを自覚できませんでした。
本記事では、あなたがやりがい搾取されていないか、またやりがい搾取をされている場合に抜け出すための方法を3つのステップに分けて解説していきます。
やりがい搾取は心身を壊す魔の入口
自分の仕事にやりがいを感じるのは、非常に大切なことです。
仕事するのはお金のためであることに間違いはありませんが、前向きな気持ちで働けるならそれに越したことはありません。
しかし、やりがい搾取をされたまま働き続けると、あなたの心身はボロボロになっていきます。
何故ならやりがいをエサにして、あらゆる負担を強かれることになるからです。
僕の場合、
・定時であがるのは不可能な仕事量
・自分の範囲外のところにまで管理責任を問われる
・首を縦に振らないと終わらない昇進の打診(昇進を断れない)
など、今にして思えば法律的にアウトなことも多々ありました。
やりがいは良くも悪くも自分を支える動機づけになりますが、心身は過度な負担に対して素直な反応を示します。
そして1度壊れてしまうと、これを完全に回復するのはとても難しいです。
やりがい搾取は、あなたの心身を壊してしまう魔の入り口であり、絶対に避けなければなりません。
やりがい搾取はされている側の問題でもある
「自分はやりがい搾取なんてされていない」
あなた自身はそう思っていても、外部から見るとそれが誤った認識であることは、決して珍しくありません。
また、仮にやりがい搾取をされていても、それを自分で認めたくないこともあるのです。
何故なら、やりがい搾取という事実を受け入れてしまったら、これ以上その仕事を続けることができなくなるから。
僕自身がそうだったのですが、仕事に対する責任感や使命感をやりがいとして支えにしていたものの、それがおかしいことだと認識した途端、全てバカらしくなって何もやる気が起きなくなってしまいました。
そしてここまでにかけてきた自分の労力は何だったのだろうと、虚無感を抱えるようになったのです。
こうしたケースは僕だけでなく、世の中のあらゆるところに存在しているはずです。
やりがい搾取とは必ずしも会社だけの問題ではなく、されている側の意識や気持ちが問題となっている場合もあるということです。
見直すべき5つの働き方
やりがい搾取をされているかどうかは、自分の今の働き方で判別が可能です。
具体的には以下の5項目を見直してみましょう。
労働に見合った給料はもらえているか
本来、仕事によって得られる給料は、その労働力に見合った金額であるべきです。
例えば『週1日1時間働く』のと『週5日40時間働く』のとで、ともに『月20万円』の給料だったら、明らかに後者が割に合わない不当なものだと感じるでしょう。
しかし、世の中にはそこまで明確には分からないけれど、労働力と給料が見合っていない仕事が多々存在します。
僕が過去にそれを実感したのは、以下のような仕事をした時です。
①立ちっぱなしで手を止めずひたすら作業する業務内容で時給1,300円
②オフィスで座りながら簡単な事務処理を行う業務内容で時給1,700円
業務内容としてどう考えても大変なのは①の方ですが、時給が高いのは②の方でした。
あなたが今している仕事は、本当にそれに見合った給料なのか、同業他社の求人情報などを調べて比較してみることをおすすめします。
休みは十分に取れているか
休むことは人間に欠かせないものです。
通常の休暇はもちろん、ランチタイムや有給休暇など、取れて当たり前のものを取れていないのは、異常と言わざるを得ません。
しかし世の中には、それを取れていないケースがあちこちに存在しています。
僕も以前はその例に漏れず、有給休暇を取得しようと上司に申告しにいったところ、「取るのはいいけど、その間の仕事は誰がやるの?」と言われて、結局取得することができませんでした。
あなたが普通に取得できない環境にいるのならば、いっこくも早くそんな場所からは離れるべきです。
サービス残業していないか
仕事は定時で終わるのが普通であり、残業するのは決して良いことではありません。
ましてやそれがお金の発生しないサービス残業になるのであれば、搾取でしかないでしょう。
僕はかつて、年間で400時間にのぼるサービス残業をしたことがありますが、今では本当に無意味な時間を消費してしまったと思い出します、
お金のためにする仕事を、お金が出ないのにやってしまうのは、ただボランティアです。
会社がそれを強要あるいは容認しているのであれば大問題ですし、自主的にやっているであればもっと問題です。
そんなやりがい搾取は、今すぐ是正しなければなりません。
責任を押し付けられていないか
自分のポジジョンに見合わない責任は、決して負うべきではありませんし、その義務もありません。
にも関わらず、責任だけ押し付けて見合った待遇を与えないという、悪質な会社は少なくないです。
僕もかつて、自分の担当範囲外のものにまで管理責任を問われ、非常につらい想いをした経験があります。
強くNoと言えなかった自分にも問題はありますが、もしそのようなことをされたら、ハッキリと拒否するべきですしそれが当然です。
綺麗事に騙されていないか
会社の社訓や企業理念には、多くの綺麗事が並んでいます。
それ自体は法律違反でも何でもありませんが、問題はそれをダシにして無理な労働をさせられていないかです。
かつて労働問題で訴訟を起こされ、結果的に和解したものの1億3,000万金を支払うことになった『ワタミ』。
そんなワタミには、以下の企業理念が存在しました。
・地球上で一番たくさんの『ありがとう』を集める
・24時間365日死ぬまで働け
この企業理念の真意はともかく、文言の強烈性は間違いなく高く、『ブラック企業だ!』と大きな批判を世間から受けることになりました。
表面上は綺麗事で済んでも、それを現場で実践ふるのは全くの別問題。
これこそやりがい搾取の典型であり、最も注意しなければならないものです。
やりがい搾取から抜け出すための3ステップ
もしあなたがやりがい搾取を受けているのであれば、その仕事からいかに早く抜け出せるかが今後の人生を左右します。
具体的には以下の3ステップを経て、環境を変えるべきです。
①自分の『理想の生活』を考える
②現状を整理する
③理想の実現に必要なことをする
それぞれ詳しく見ていきましょう。
自分の『理想の生活』を考える
あなたにとって、理想の生活とはなんでしょうか。
自分のやりたい仕事をする、朝をゆったり過ごす、夜は定時であがりプライベートを謳歌する…
人によって様々ですが、誰しも必ず自分の中に思い描くものがあるはずです。
まずはどんなに不可能と思えるものでも、理想を好きなだけ挙げてみましょう。
分かりやすくまとめられるように、紙に書くと良いかもしれません。
現状を整理する
今の自分の生活が、①で挙げた理想からどの程度離れているか整理しましょう。
理想と乖離があって当然なので、変に見栄など張らず率直に整理します。
これをやると自分の生活を改めて客観的に見ることができるので、何かおかしい箇所(無理をしている等)があれば分かりやすくなります。
今後を考えるためには、まず現状を見なければ始まりません。
理想の実現に必要なことをする
①と②であげた理想と現実の間の乖離を、どうすれば埋められるかを考えて行動に移します。
転職をするべきなのか、今の仕事のままでやり方を変えるべきなのか、働き方自体に変化を加える(副業をする等)べきなのか。
あなたにとって最も無理なく、理想を可能な限り叶えられるようにすることが重要です。
①〜③のいずれかで悩んだり迷うことがあれば、その道のプロに相談してみるのも効果的です。
『キャリフリ』では、仕事や働き方を含めた人生におけるキャリアについて、個々に合わせたものを提案やサポートしてもらえます。
無理でのキャリア相談も可能なので、試してみて損はないでしょう。
自分の健康以上に大切な仕事なんてない
やりがい搾取は自らの心身を削り、不健康にしてしまうものです。
確かに仕事はお金を得るために欠かせませんが、健康以上に大切な仕事なんてありません。
健康はお金で変えるのではないですし、自分で守るしかないものです。
そのことを忘れず、やりがい搾取に騙されることなく、自分の時間を生きるようにしましょう。