求人を見ていると『人材コーディネーター』って名称が出てくるけど、資格の『キャリアカウンセラー』とは何が違うんだろ・・・?
こんな疑問にお答えします。
求人票で『人材派遣会社のコーディネーター』という職種が募集されていたり、『大学のキャリアカウンセラー』という職種で募集がされているのを、「キャリア」などのキーワードで検索して見たことのある方も多いのではないでしょうか。
ところが両者が違うものかと思っていたら、人材派遣会社でも『キャリアカウンセラー』という名称を使ったりしていて、パニックになることもあると思います。
この記事では、そんなキャリアカウンセラーと人材コーディネーターの違いについて、詳しく説明していきます。
僕自身、キャリアカウンセラーに関する資格を保持しており人材派遣会社の営業として働いた経験もあるので、参考にしていただければ幸いです。
キャリアカウンセラーと人材コーディネーターの具体的な違い
目的
まず、両者の大きな違いは、お客さんに提供するサービス内容とその目的です。
キャリアカウンセラーは、主に『クライエントのキャリア形成』に関わる支援を行います。
クライエントがこれから先どのような仕事をしていきたいか、さらに広義にはどのような人生を過ごしていきたいのかということを、カウンセリングを通じてクライエントと信頼関係を築きながら関わって支援していきます。
対して人材コーディネーターは、主に『求職者の転職支援と人材を求める企業とのマッチング』を行います。
クライエントが作成した履歴書や職務経歴書の添削。求職者にヒアリングした転職希望条件に沿って求人の紹介から採用・入社までを一括でサポート。
あわせて、人材が欲しい企業へどのような人材が欲しいかヒアリングし紹介していきます。
あくまで最終的な目的は『求職者と企業をマッチングさせること』なので、キャリアカウンセラーのように人生に関する深い部分の話はしません。
業務内容
キャリアカウンセラーは、クライエントへのカウンセリング提供が基軸となります。
企業の内部カウンセラーとして勤務している場合は、それに加えて企業従業員全体へのキャリア形成に関わる研修をしたり、企業全体へキャリアカウンセリングの広報活動をしたり、従業員の家族へのカウンセリングをしたり等があります。
フリーランスとして働いている場合は、依頼された企業への研修、企業との委託カウンセリング提供に関する営業活動、キャリアカウンセラー養成講座の講師業務等があります。
人材コーディネーターは、基本的に人材派遣会社や人材紹介会社に勤務しています。
クライエントの転職支援、転職先企業の新規開拓、既存転職先企業へのフォロー(転職成功者の最近の働きぶりや問題発生有無の確認など)等を行います。
なお、人材コーディネーターは求職者と企業のマッチングを成功させることで初めて利益を得ることができ、これをどれくらい上げられるかが自身の営業成績に直結するため、多少強引なマッチングを行うこともあるのが実情です。
料金体系
キャリアカウンセラーの場合、企業に雇われているかフリーランスで活動しているかによって大きく異なります。
企業の内部カウンセラーの場合は、基本的に企業からの給料(もしくは報酬)で一定額が保証されています。事前の待遇を確認しておけば問題はありません。
フリーランスの場合は、クライアントへのカウンセリング提供(1時間あたり〇〇円)で報酬を得たり、企業への研修代などを受け取り利益とします。
人材コーディネーターは、あくまで会社員なので人材派遣会社や人材紹介会社から給料を受け取ることとなります。これに加えて賞与や、営業成績に応じたインセンティブを得られる可能性もあります。
必要なスキル
キャリアカウンセラーも人材コーディネーターも、最も必要となるスキルはヒアリング力です。
クライエントの話を丁寧に聞き取り、そこに含まれた意図や意味について推測し仮説を立て、希望を汲み取ることが大切です。
キャリアカウンセラーにはこれに加えて、様々なカウンセリング技法(箱庭療法など)を学び、あらゆる年代・性別・経歴のクライエントにカウンセリングできるような力を身に付けなければなりません。
人材コーディネーターは、キャリアカウンセラーに比べて営業色が強いため、機転の利いたセールストーク能力も問われます。
また言い方は多少悪いですが、嘘とまではいかなくとも拡大解釈した捉え方などで上手に求職者と企業を自分の望む方向に行かせるようにすることも必要となります。
明確な使い分けはされていない
以上がキャリアカウンセラーと人材コーディネーターの違いですが、実は世の中ではこの2つの名称がごちゃまぜに使われていることがほとんどです。
両者とも業務独占資格ではないため、誰がどのように名乗っても違反ではないからです。
例えば人材派遣会社の営業がキャリアカウンセラーを名乗ってもOKですし、反対にキャリアカウンセラーが人材コーディネーターを名乗っても法律上は何も問題ありません。
そのため「キャリアカウンセラーとしてキャリア支援をしていきたい!」と思って求人を調べても、人材派遣・紹介会社の仕事ばかり出てくることも多いです。
また、中には業務内容がとても紛らわしく書かれている求人もあるので、募集する前に企業名からどんな会社なのか必ずチェックするようにしましょう。
人材コーディネーターになるには
人材コーディネーターは人材派遣・紹介会社に就職することでなることができます。
会社によって『求職者との面談のみ』を担当するのか、『求職者と企業のマッチング』まで全て担当するのかといった範囲が異なるため、自分の希望する仕事ができる会社に入る必要があります。
資格・経験が不問で若年層を歓迎している会社が多く、1年を通してコンスタントに求人が出ていることが多いです。
ただ、それは裏を返せば退職者が多くて資格・経験のないような人間でも問題ない(ある程度使えればいい)ということでもあります。
人材を商品として扱うことになるので、トラブルのない日が無いくらい激務かつストレスのかかる仕事です。
僕は人材派遣会社で働いていましたが、入社後8ヶ月で退職に至りました。
そのため、働くにあたっては相応の覚悟が必要です。
キャリアカウンセラーになるには
キャリアカウンセラーになるには、まずキャリアカウンセリングの勉強をする必要があります。
資格が無くても問題はありませんが、まずは体系的な理論を身に付け実践的な練習することをおすすめします。
キャリアカウンセラーになるための養成講座(半年から1年ほど)を受講し修了すると、資格試験を埋めることも可能となるので一石二鳥です。
養成講座は様々な学校が運営しているので、まずはいくつかの学校の資料を請求し、比較検討するのがいいでしょう。
資格の取得を目指すか否かは本人次第ですが、取得しておいた方が信頼度はアップします。
働き場所はハローワーク、大学の就職支援課や、フリーランスで働いたり起業する人もいます。
ただ、現状は雇用形態が非正規である場合が多く、決して給料が良いとも言えないのでその先のプランもしっかり練っておくことが必要です。
人材コーディネーターの仕事で実戦経験を積むのもアリ
キャリアカウンセラーとして働きたい場合、求人の募集条件を見ると、『人材会社での勤務経験』や『キャリアカウンセラーとしての実務経験』を問われるものが少なくありません。
キャリア形成支援でのキャリアカウンセラーとして働くには、雇用形態や求人の募集頻度から見ても難しいのが事実。
そのため、まずは人材会社で何年か働いて実務経験を積み、そこからキャリアカウンセラーに転身するのも1つの手段です。
いずれにしても、これからの世の中により必要とされる職種であることに間違いはありません。
人に関わる仕事で大変なことは数多くありますが、興味がわいた方はぜひチャレンジしてみてほしいと思います。