ビジネス文書を作成する場合、慣れていないと、最初の宛名から少しつまずいてしまいます。
敬称はどうすればいいいのでしょうか。やはり、敬称は正しく記述しないと失礼にあたる場合があります。敬称とはその会社やその人物に敬意をしめすものです。間違わないよう正しく使用するようにしましょう。
会社につける敬称6つを使い分けよう
会社につける敬称が6つあるのでみていきましょう。使い方の例もあげていますので、覚えましょう。入社してはじめて「御中」や「各位」という言葉を知ったという方も、覚えてしまったら使いわけも簡単です。
- 御中の使い方
- 殿の使い方
- 様の使い方
- 各位の使い方
- 行の使い方
- 宛の使い方
会社につける敬称1:御中の使い方
「御中」は企業や部署、官庁、学校などの組織や団体宛てに送る場合に使用する敬称です。よって会社につける敬称は「御中」です。会社名の後に「御中」と書くだけなので、しっかり覚えておきましょう。個人宛ての場合は「御中」は使用しません。
<使い方の例>
株式会社〇〇 御中
株式会社〇〇 広報部 御中
<間違った使い方の例>
株式会社〇〇 御中 広報部 御中
株式会社〇〇 様
「様」は個人の敬称で使用しましょう。企業、団体などは「御中」を使用しましょう。
会社につける敬称2:殿の使い方
最近では、殆ど使用しなくなりましたが、「殿」は一般的に目上の人から目下の人に対して、名前や役職の後につける敬称です。
相手が男女関係なく使用できますが、お客様や取引先に使用すると失礼にあたります。「殿」を使用する理由が絶対でなければ、「様」を使用するように心掛けましょう。
<使い方の例>
営業部長 山田和也 殿
営業部 山本明子 殿
<間違った使い方の例>
営業部 殿
株式会社〇〇 殿
株式会社〇〇 広報部 殿
会社につける敬称3:様の使い方
「様」は個人を宛先として手紙を送る場合にもビジネスでの書類などいろいろな場面で頻繁に仕様される宛名の敬称の一つです。個人であれば、相手が目上であっても目下でもあっても使用することができます。
<使い方の例>
山田和也 様
株式会社〇〇 営業部 営業部長 山田和也 様
<間違った使い方の例>
株式会社〇〇 営業部 山田和也 営業部長 様
株式会社〇〇 御中 営業部 営業部長 山田和也 様
「会社名→部署名→役職名→氏名→様」が正しい順番です。
会社につける敬称4:各位の使い方
「各位」は複数の人、一人一人に敬意を示す時に使用する敬称です。「皆様」という意味になります。「皆様」は口語的、「各位」は文語的と考えるといいでしょう。相手が目上でも目下でも使用することができます。あくまで複数の人であって、一人の時は使用しません。
<使い方の例>
関係者各位
社員各位
従業員各位
山下課長及び関係者各位
<間違った使い方例>
関係者様各位
関係者各位様
「各位」も「様」も敬称なので、二重敬語になっています。
会社につける敬称5:行の使い方
「行」は自分や自分が働いている会社などに自分で敬称を付けるのを避けるために使用するものなので、敬称ではありません。
<使い方の例>
山田和也 行
株式会社〇〇 広報部 行
往復ハガキや返信用のハガキで「行」を使用するので、届いて返信する場合は、「行」は二重線で消し、個人名であれば「様」、団体名であれば「御中」を書いて投函しましょう。消す場合、修正ペンやテープなどは使用しないでください。
<間違った使用例>
山田和也 様行
会社につける敬称6:宛の使い方
「宛」も「行」と同様、自分や自分の会社などに敬称を付けるのを避けるために使用するものなので、敬称ではありません。
<使い方の例>
山田和也 宛
株式会社〇〇 広報部 宛
「行」と同様、往復ハガキや返信ハガキで「宛」を使用するもので、自分に届いた場合は「宛」を二重線で消して、宛先が個人名であれば「様」、団体名であれば「御中」を書いてから投函しましょう。
<間違った使用例>
山田和也 様宛
株式会社〇〇 広報部 御中宛
メールで送る際の敬称の使い方
メールで送る場合も敬称の使用の仕方は普通のビジネス文書と同じと考えましょう。「御中」や「様」は、ビジネスでのメールでも非常によく使用する敬称です。ビジネスメールでも、ビジネス文書と同様、宛名は本文の最初に書きましょう。
封筒の敬称の書き方例3つ
ビジネス文書などを送る場合、原則として便せんに書いて封筒で送るのがマナーとなっています。
ハガキは封書の略式となるため、年賀状や暑中見舞いなどの時以外は、封書で送るようにしましょう。目上の人に送る手紙や第三者に内容を知られたくない手紙などは必ず封書で送るようにしましょう。
- 会社名のみの場合
- 会社名+部署名のみの場合
- 会社名+部署名+個人名の場合
封筒の敬称の書き方例1:会社名のみの場合
封筒に書く敬称も先ほど述べたビジネス文書の敬称と同じです。会社・学校・病院・役所など組織や団体に送る手紙の敬称は「御中」と書きましょう。会社名のみで送る場合は会社名の後に「御中」を書くだけです。
<書き方の例>
株式会社〇〇 御中
〇〇株式会社 御中
有限会社〇〇 御中
学校や病院、役所なども同じように「御中」を使用します。
<書き方の例>
都立〇〇高等学校 御中
〇〇歯科医院 御中
〇〇市役所 御中
封筒の敬称の書き方例2:会社名+部署名のみの場合
会社名+部署名のみの場合もビジネス文書と同じで、「御中」を使用します。部署も組織や団体に当てはまり、個人ではないので「御中」を使用します。
<書き方の例>
株式会社〇〇 広報部 御中
<間違った書き方の例>
株式会社〇〇 御中 広報部 御中
もし、2行になっても「御中」は広報部の後だけに書くようにしましょう。
<書き方の例>
株式会社〇〇
広報部 御中
学校・病院・役所でも会社名+部署名+「御中」と同じ要領で書くようにしましょう。
<書き方の例>
〇〇大学 文学部 御中
〇〇総合病院 皮膚科 御中
封筒の敬称の書き方例3:会社名+部署名+個人名の場合
会社名+部署名+個人名の場合もビジネス文書と同じで個人名の後に「様」だけを書くようにしましょう。会社名の後や部署名の後も行が変わったとしても「御中」は書かないように注意しましょう。
<書き方の例>
株式会社〇〇 営業部
営業部長 山田和也 様
<間違った書き方の例>
株式会社〇〇 営業部 御中
営業部長 山田和也様
学校・病院・役所でも会社名+部署名+個人名+「様」と同じ要領で書くようにしましょう。
<書き方の例>
〇〇大学 文学部
准教授 川本一郎 様
会社以外へ宛てた文書への敬称の正しい使い方4つ
会社以外へ当てた文書への敬称も、ビジネス文書で述べた敬称と同じ使い方をします。相手が団体の場合、病院の場合、個人の場合、複数の場合の使い方をこれから述べますので参考にしてみましょう。
- 相手が団体の場合
- 相手が病院の場合
- 相手が個人の場合
- 相手が複数の場合
敬称の使い分け方1:相手が団体の場合
相手が団体の場合、会社に使用する敬称は「御中」です。団体の名前の後に「御中」と書くようにしましょう。
<使い方の例>
社会福祉法人 〇〇 御中
一般社団法人 〇〇協会 御中
個人でない限り、団体、組織には「御中」の敬称が使用されるのが普通です。「様」を使用しないよう注意しましょう。
敬称の使い分け方2:相手が病院の場合
病院の場合も会社で使う敬称の「御中」を使用するようにしましょう。団体や組織と同じ敬称を使用すると考えましょう。個人名ではないので、「様」を使用しないよう注意しましょう。
<使い方の例>
医療法人〇〇 〇〇総合病院 御中
〇〇歯科医院 御中
社会医療法人 〇〇病院 御中
敬称の使い分け方3:相手が個人の場合
相手が個人の場合もビジネス文書と同じで名前の後に「様」を使用します。
<使い方例>
山田和也 様
社会福祉法人 〇〇 森田真由美 様
社会福祉法人 〇〇 事務課 森田真由美 様
<間違った使い方例>
社会福祉法人 〇〇 御中 森田真由美 様
社会福祉法人 〇〇 事務課 御中 森田真由美 様
個人宛ての場合は、団体・組織名の後に「御中」は付けずに名前の後に「様」だけを記入するようにしましょう。
敬称の使い分け方4:相手が複数の場合
相手が複数の場合は先に述べたビジネス文書と同じで「各位」を使用することにしましょう。「各位」は「皆様」という意味の敬称です。
<使い方例>
関係者各位
職員各位
保護者各位
友の会 関係者各位
組合員各位
会社宛の敬称を正しく使いこなそう!
会社では、ビジネス文書、メール、得意先でとあらゆる場面で、その時、その時に違った敬称が必要となってきます。間違った敬称で文書や封書、最近ではメールを相手先に送ると失礼になるので、しっかり覚えて使用することにしましょう。