皆さんは外資系企業にどういったイメージをお持ちでしょうか?

高価なスーツを着こなし、六本木・西麻布・青山近辺に家を借り、高級車を乗り回す……。これらのイメージは、いずれも外資系企業の高年収に起因しています。

確かに外資系企業と日系企業のあいだには、たとえ同じ業界の同じ業務内容だとしても年収差が発生するという事態が起きています。

外資系企業の年収が高い理由には、業績がダイレクトに反映される方針や、グローバル展開による高収益化などさまざまな要因があり、一概に理由を説明することは困難です。

いずれにせよ、年収が高い傾向にあることは概ね間違いなく、外資系企業への転職はキャリアプランニングにおいても重要なポイントとなるのです。

年収アップだけでなく、キャリア設計も踏まえた外資系企業への転職を目的とし、外資系の特徴から実際に転職活動をする際に利用したい転職サービスまでをご紹介します。

1.外資系企業4つの特徴

外資系企業についてなんとなくのイメージをお持ちの方は多いと思いますが、企業の実情について詳しくご存じの方は少数です。

まずは、外資系企業の特徴や傾向をお伝えしていきます。

特徴1.公私(仕事とプライベート)は完全に分かれている

顕著に風土の違いが出るのは、公私がきっぱりと別れている点ではないでしょうか。

日本企業では、休日にも社員同士で親睦を深める文化があります。親睦会や交流会。企業によっては部活動や社員旅行などを催しているところも少なくありません。

しかし外資系企業は休日に会社としての集まりがあることはごくまれです。公私をしっかりと分け、勤務時間のパフォーマンスに還元していく考えが強いのです。

交流の多かった日本企業からの転職を検討している方は、どこか寂しいような印象を持つかもしれませんが、文化の違いと割り切るのがよいでしょう。

特徴2.個人の裁量やパフォーマンスが尊重される

外資系企業には、終身雇用の文化が根づいていないことがほとんどです。

そのため短い期間で転職を重ねてキャリアアップしていくことは珍しくなく、在籍している期間でいかにパフォーマンを出し切れるかが問われるのです。

年功序列で役職や給与が上がることがない反面、与えられる裁量が大きく、結果を出していれば働き方に寛容である企業も少なくありません。

個人の実力や、成果に対する評価がより直結しているのも、外資系企業の特徴と言えます。

特徴3.進んでアクションを起こさなければならない

先ほども触れましたが、外資系企業は転職ありきでキャリアアップを行っていく風土なので、企業が社員を育てていくという考えが日本よりもやや希薄です。

そのため、スキルアップはもちろんのこと、業務に関して不明な点があれば積極性を持って上司や同僚にアプローチをしていかなければなりません。

積極性が求められる極端な例をいえば、会議で一言も意見をしなければ次の会議に呼ばれない可能性もあるほど。積極的なアクションを起こさなければ、その場に不要だと考えられてしまうのです。

日本企業よりもずっと成果主義なので、行動と、それに伴うアピールができる人材でないと外資系企業でパフォーマンスを出し続けるのは難しいかもしれません。

特徴4.さらに次の企業を見据えた転職が求められる

外資系企業は転職が前提となっているため、その企業でどのようにキャリアアップしていくかということよりも、“その企業をステップとしてどのようなキャリア構築をしていくか”を中長期的に考えていく必要があります。

つまり、従来の日系企業とはやや異なるキャリア設計を、入社時に予め引いておく必要があるのです。

この企業で何年間勤め、スキルを得て、あるいはお金を稼ぎ、次の企業に転職するステップとする。こういったキャリア構築を自分で描けない方にとっては、外資系企業への転職は時にマイナスとなることもあるので注意が必要です。

2.外資系企業のメリット・デメリット

特徴を鑑みると、個人主義であると同時にややシビアな印象を受ける外資系企業。日系企業とは異なる特徴があることで、外資系企業特有の強みや弱みが生じてしまうのです。

続いては、外資系企業に勤めるメリットとデメリットについて取り上げていきます。

外資系企業に勤める3つのメリット

メリット1.給与水準が高く、出世スピードが速い

同じ業種、同じ業務内容だとしても給与が高い傾向にある外資系企業。終身雇用ではないため、退職金などの福利厚生があらかじめ含まれている場合もありますが、業績や個人の売上に応じてさらに高収入が望める点は大きなメリットです。

個人個人に目標としている売上が数値として通達されている事が多く、明確な目標を追いかけて仕事に邁進することができます。目標への達成額に応じてインセンティブを支払う企業もあります。

また、実績次第では年功序列を覆して管理職に登用されることも決して珍しくありません。

あくまでも実力社会なので、自分のスキルやパフォーマンスに自信がある方にとっては収入に直結する環境が整っているといえるでしょう。

メリット2.スピード感をもって業務を行うことができる

日本の大企業にありがちな稟議書による書類確認や、遠回しな連絡の伝言ゲームのような無駄は最大限排されている会社が多いのも外資系企業の特徴です。

上司の裁量が大きく、それぞれの部下は上司に確認を取ることでスピード感のある仕事を行うことができます。

このような意思決定の速さは日本のベンチャー企業にもみられますが、大企業などで仕事の進みの遅さを実感していた方にとっては大きなメリットの1つであると考えられます。

メリット3.個人の専門性を高めやすい環境にある

個人個人の役割が明確で、担当領域を越えた業務を行うことがない(珍しい)のも外資系企業のメリットです。

自分の専門性を高め、担当業務の範囲内で効率やパフォーマンスを最大化していくことができます。

役割が明確というのは、言い換えると責任の所在が明確であることにも繋がります。どこまでも自分の成果を追求していく姿勢が求められるのです。

外資系企業に勤める3つのデメリット

デメリット1.結果次第では減俸が十分にありえる

給与水準が高く出世スピードも早いというメリットは、結果が出ない場合に厳しい措置が取られることと表裏一体です。

企業によってその度合いはさまざまですが、欧米の企業では「明日から来なくていいよ」という指示が珍しくないようです。

日本にある外資系企業はそこまで唐突な進退の判断が下ることはレアケースでしょうが、結果に応じて減給があったり、賞与がカットされることは十分に考えられるでしょう。

デメリット2.進退に関する人事権を直属の上司が握っている

人事権を直属の上司が握っているケースが多いのも、外資系企業の特徴であり、ときにデメリットともなります。出世から減給まで、上司に一任されていることもあるためです。

上司と円滑に関係構築をすることができれば出世や昇給に大きく前進しますが、反対に関係を築けなかった場合は悲惨で、いくら仕事で成果を出しても出世に結びつかないというケースも考えられるのです。

とはいえ、流動性の高い外資系企業は人事異動も高い頻度で行われます。たとえ上司に取り入ることができなくとも、我慢して在籍することで活路が開かれることは十分にありえます。

デメリット3.本国(本社)の方針に従わなければならない

外資系企業の経営判断は、本国のトップが握っていることがほとんどです。

極端な話、日本から撤退するという判断がなされれば、日本支社で働いているスタッフが全員解雇されることがないとも言い切れないのです。

そこまで極端でなくとも、たとえ日本での業績が良くとも、本国の業績が悪ければ人員削減を実施するかもしれません。それは、いくら日本で成果を上げていたとしてもコントロールできないことなのです。

また、本国のスタッフと業務を行う際には、時差という問題も発生します。ビデオ会議などを行う際は、向こうの時差に合わせて通常の勤務時間を越えた時間帯での対応が必要になることもあります。

このことから、転職を検討する際には本国(本社)の影響力まで調べられるとベストでしょう。

3.外資系企業に転職して成功する人の3つの特徴

特徴、そしてメリット・デメリットをふまえ、どういった方が外資系企業で活躍できる傾向にあるのかについて考えていきたいと思います。

一例として、以下のような特性を持つ方は、外資系企業で活躍しやすいと考えられます。

特徴1.外資系企業の文化の違いに順応できる

ここまで紹介してきた通り、外資系企業には特有の文化や風土の違いがあります。

日本企業で当たり前だったことが通用せず、例えば発言をしない会議から外されてしまうなど、時にネガティブな状況に陥ってしまうこともあるでしょう。

ここで「外資系企業だから」と割り切れる人は資質があるといえます。これまでの経験や常識を一旦白紙に戻し、新たに文化をインストールできる人は外資系企業で活躍していける可能性が高いといえるでしょう。

もちろん、日本企業で培ったスキルや処世術のすべてが通用しないわけではありません。業務やコミュニケーションを通して、必要なスキルと不必要なスキルを常に最適化していくことが求められるのです。

特徴2.プラス思考でメンタルの強い人

業績や個人の実績・結果によって給与や賞与が上下し、キャリアプランのなかでの一つの期間と割り切って働くことが求められる外資系企業。

少なからず、将来の不安とは隣り合わせでの勤務となるでしょう。そこで悲観せず、仮に解雇されたとしても生きていけるというようなある種図太いメンタルが求められるのです。

うまくいかない時もそれを受け入れることができるメンタルと、次の仕事に成功するというビジョンを描くことができるプラス思考さが大切です。

また、仮に解雇になったとしても生きていけるようにパラレルワークを行うことも一つの方法です。別の収入源があるという安心感は、本業(ここでは外資系企業)のパフォーマンスに繋げられるのです。

特徴3.ちょっと大げさでも人付き合いが得意

デメリットで紹介しましたが、上司との関係構築は出世や評価に直結するケースがあります。逆に言えば、上司との関係が円滑であれば、出世への近道であるとも言えるのです。

少々大げさでも上司に取り入り、自身の評価を上げていける人は外資系企業で立場を盤石にするスキルを持っているといえるでしょう。

相手が何をされると嬉しいと思うかというコミュニケーションの本質を捉えて行動できる人は、外資系企業ならではの出世のチャンスが広がっているとも言えます。

4.外資系企業に転職するならこのサイトを

実際に外資系企業への転職を検討する場合は、どのような転職サイト・転職エージェントを利用するのが良いでしょうか。

以下では、外資系に特化した転職関連サービスをご紹介します。

転職サイト(求人掲載サイト)タイプ

条件にマッチした求人を自分で探し、応募までを行うスタイルの転職サイト。特に外資系企業への転職に強いサービスをご紹介します。

1.マイナビ転職グローバル

Screenshot

転職業界大手のマイナビグループが運営する「マイナビ転職グローバル」は、外資系の転職だけでなく海外勤務の求人や、外国語を使う求人まで、グローバルでの転職活動をトータルで支援している転職サイトです。

求人の検索も明確で、「(希望の)海外勤務地」や「活かせる言語」など、自分のスキルやキャリアプランに応じた選択ができるように設計されています。

各求人は「勤務地」「職種」「キーワード」でクロス検索することができ、目的の求人まで最短でたどり着けるのが特徴です。

2.キャリアクロス

https://www.careercross.com/

登録ユーザーの8割以上がビジネスレベル以上の英語力を保持しており、企業側からの評価が高いとされている転職サイトがキャリアクロスです。

掲載されている求人も9割以上が一定の英語力を求められる案件ばかり。特に英語を活用したキャリアプランを構築したい方にとっては、ぜひ利用したい転職サイトです。

サイト内には転職支援コンテンツも充実しており、初めて外資系企業に転職される方にとっても利用価値が高いサイトです。

転職エージェントタイプ

転職エージェントとは、転職者それぞれに担当者である転職エージェントが着き、転職活動をトータルでサポートしてくれるサービスです。

求職者と企業の間に入ることで、両者にとってよりミスマッチのない求人を紹介することが期待できます。

また、書類の応募や面接の日程調整、さらには年収の交渉までの転職でやらなければならないことを全般的に代行してくれるので、外資という慣れない環境に転職する方にはぜひ利用を推奨したいサービスです。

続いては、外資系企業に強い転職エージェントをご紹介します。

1.dodaグローバル

https://doda.jp/global/

大手エージェントサービスのdodaが運営しているdodaグローバル。外資系企業への転職だけでなく、英語を活かせる仕事や海外勤務(海外出張)まで、幅広い企業情報を提供しています。

バイリンガル専門のコンサルタントが在籍しており、外資系企業特有の選考ポイントや、応募書類での効果的なアピール方法など、外資への転職活動をサポートしてくれるのが大きな強みでしょう。

同サイトが提供している「英語力を活かせる全18職種」では、実際に掲載された求人情報をもとに、具体的な仕事内容や、求められるTOEICの点数、語学レベルなどを掲載しています。

今まで検討してこなかった業界にも目を向けるきっかけとなるかもしれません。

2.JACリクルートメント

https://corp.jac-recruitment.jp/about/corporate_outline/

外資系、かつエグゼクティブ・管理職・スペシャリストなどのいわゆるハイクラス層の求人に強いのがJACリクルートメントです。利用者の70%以上が35歳を超えており、高いポジションでの転職を望まれる層に支持されているサイトです。

JACリクルートメントは企業と直接やり取りをしているエージェントが転職者とも連絡をとりあうため、より齟齬のない情報伝達が可能なことも強みの一つです。

1000万円以上の求人も多く、外資系企業への転職を狙うエグゼクティブ層の方は特に利用したいサービスです。

5.外資系企業で必要な英語力は?TOEICの点数

最後に、外資系企業で求められる英語力についてご紹介します。まず知っておいてほしいのは、かならずしもすべての外資系企業でネイティブレベルの英語力を求められるわけではないということです。

企業単位でなく部署単位でも英語の必要レベルは異なります。極端な話、外資系企業だとしても、食品メーカーの工場に配属された場合はそもそも会話自体が求められないケースもありえるのです。

求められる英語力にはいくつかのパターンがあるので、志望する際にはどの程度の英語力が必要とされるかも判断基準とし、企業研究を行いましょう。

転職エージェントを利用している場合は、担当のエージェントに相談するのが得策です。

外資系企業に勤めるためにはTOEICで何点必要?

「TOEIC」と呼ばれる国際コミュニケーション英語能力テストでは、どれくらいの点数を取れば、外資系企業で働いていけると推測できるでしょうか。

TOEIC公式サイトに掲載されている、「上場企業における英語活用実態調査」を参照すると、上場企業の国際部門の社員が期待される点数は660〜840点とのことです。

また、コミュニケーションのレベル感を見ると730点以上を獲得できれば、業務上を含めコミュニケーションができる素地を備えているとされています。

外資系企業転職のためにTOEICを受験される方は、730点を一つの目安に取り組んでみるのがよいでしょう。

6.まとめ:職歴の価値を左右するのは自分自身

短期的に高額の報酬を獲得するチャンスを得られる外資系企業ですが、じつは、その先のキャリアプランも広げることができます。

大手企業のみならず、中小企業もグローバル展開を推進し、海外ビジネスをリードできる人材への需要が急速に高まっている昨今。外資系企業でのキャリア価値はより高まっています。

海外ビジネスへ進出する架け橋として、外資系企業での職務経験は日系企業ではなかなか付加できない強みとなるでしょう。

メリットとデメリットがはっきりしている外資系企業ですが、キャリアを自身でキャリアを形成していける方にとっては、十分考えられる選択肢なのです。