この記事は、従業員が異動願いを提出するときの状況、異動願いの意味について説明しています。
また、異動願いを提出する際に考えられるリスクや、異動願いを書くときに注意するべきポイント、提出するときに理想とする時期・タイミングについてご紹介しています。
異動願いとは
異動願いとは、従業員が別の部署へ配置転換を自ら希望するために提出する書類のことです。
自分が今できる可能性を確かめたい時や、キャリアアップを目指して他の仕事に興味が出たときに「異動願い」を出すことは悪い判断ではありません。
異動願いは、正しい順序で提出するタイミングにも配慮して出さないと、せっかくの異動の話が遠のいてしまう事につながってしまいます。
異動願いにはリスクもある
上司次第ではありますが、異動願いを提出する際には、自分にとってマイナスになる場合も考えられます。
たとえば、異動願いを出すことによって、仕事に不満を抱えながら嫌々こなしていると思われてしまい、それが原因で上司に嫌われてしまった結果、仕事で成果を出しても評価を下げられてしまうような場合です。
また、異動が叶ったとしても仕事を覚え直さなければならず、成果を上げることができずに評価が下がることもあります。
異動願いを提出する前の注意点3つ
異動願いの提出には、事前に確認すべき点が3つあります。
他の部署へ移りたい、と異動願いを作成する前に、「会社の人事制度はどうなっているか」「身勝手な理由ではないか」「異動するからといって今の仕事に無責任な態度で取り組んではいないか」の3点を確認することが大切です。
今の部署に迷惑をかけることは、異動した部署でも迷惑をかけることにつながります。
それでは、この3つを順番に解説していきましょう。
異動願いを提出する前の注意点1:会社の人事制度を確認する
従業員自らが、自分の働く場所を決定することができる人事制度を設けている会社があります。
代表的な人事制度の種類は、社員に異動希望を自己申告させ、会社がそれを元に異動を決断した上で辞令を出す「自己申告制度」と、独自でその部署で働く人材を募集する「社内公募制度」があります。
また、フリーエージェント制度を適用した「社内FA制度」という人事制度を設けている会社もあります。
異動願いを提出する前の注意点2:異動を希望する理由が自分勝手な事でないか
人間関係に関する理由などは、協調性が欠けていると思われる可能性があります。
人間関係を異動願いの理由にした場合、会社側でも「違う部署へ移っても、また同じ理由で異動願いを出すのではないのか」と判断することもあるため、異動が叶わない可能性が高いです。
さらに、人間関係が異動の理由の場合、現在の直属の上司にとっても、決してよい話ではありません。そのため、上司との関係に溝ができてしまう可能性もあるでしょう。
異動願いを提出する前の注意点3:異動するからといって今の仕事を投げやりにしていないか
異動願いの提出を考えている場合は、なおさら今いる部署の仕事をきちんと行い、業績や評価を上げておきましょう。
仕事を投げやりにするなど、明らかに仕事に対するやる気のない態度で臨んでいると、上司や同僚からの評価も下がるため、少なからず部署のモチベーションにも影響します。
異動先の方でも、元々の部署で高い業績を上げている人や評判の良い人、そしてやる気のある人と一緒に仕事をしたいと思っています。
異動願いを書く時のポイント3つ
続いて、異動願いを効果的に上司に伝えるためのポイントを押さえておきましょう。
異動願いの扱いは、書類として提出する必要があるケース、書類作成をせずに口答で済むケース、あるいは人事部との面談を設けて希望を伝えるケースなど、企業ごとにまちまちです。
ここでは、異動願いを書類として提出することが必要な場合に備え、書類を書く際のポイントを3つご紹介します。
異動願いを書く時のポイント1:社内規定がないか確認する
社内規定にきちんと明記されていなければ、異動願いを提出することはできせん。
それぞれの会社には就業規則があります。その中で、配属の転換、転勤や転籍など、社員の人事異動に関する項目が定められており、それぞれ手続きの方法が違います。
転勤の場合は、会社に籍を残した状態での異動になります。しかし、勤務地や職種が変わるということは、会社に籍を置く者にとって大きな労働条件の変更となるでしょう。
異動願いを書く時のポイント2:規定がなければA4サイズで作成する
勤める会社に「異動願い」の既定の書式がなければ、A4サイズの用紙に自分で異動願いを作成する必要があります。
上司に異動したい旨を申し出る際に、就業規則で書類として「異動願い」を提出することを定めている企業もあり、その場合は異動願いの作成は必須です。
人事部に、異動願いの書式があるかどうかの確認をし、書式がある場合はそれに則って異動願いの書類を作成するようにしましょう。
異動願いを書く時のポイント3:前向きな異動理由を記載する
異動を希望する理由は、できるだけ前向きな内容にすることが大切です。
「今の仕事にやりがいを感じない」、「人間関係が合わない」などの理由は、単なるわがままだと捉えられてしまい、上司の理解を得るのは難しいでしょう。
その点を踏まえ、異動願いの理由を書く際には、直属の上司の評価が下がらない「今後の仕事への熱意」や「自分を人間的に成長させたい」などの前向きな理由にしましょう。
キャリアアップや目標
「異動することによって会社に貢献できる」という熱意を伝えましょう。異動・転勤を経験することは、その分新たなチャンスに恵まれるということでもあります。
今の仕事で能力を活かしきれず、結果を出せていなくても、別の分野の仕事を行うことで、それまで以上の活躍ができることもあるでしょう。
現状が思うように行っていない人ほど、積極的に異動・転勤を申し出ることで、思わぬチャンスを掴める可能性があります。
結婚が理由なら必要性を明確にする
結婚が理由で異動願いを提出したいと考えている場合は、しっかり準備しておく必要があります。
異動の理由が結婚の場合、そのまま「結婚するので異動したいです」と伝えても、すんなりと希望が通ることは少ないでしょう。
結婚の場合は準備期間も長く、異動の必要性があるかどうかも明確なので、少なくとも3ヶ月前には上司に相談しておくといいでしょう。
人間関係やパワハラが原因の場合
人事異動・部署異動を有効に活用して、原因となっている同僚や上司と離れてしまいましょう。
人間関係などによるパワハラの被害者は、人事異動・部署異動の対象になりやすいです。パワハラの被害者というのは、他部署の上司の目にすでにとまっていることも少なくありません。
キッカケが1つでもあれば、すぐに異動の話が出やすくなります。
異動願いの豆知識3つ
ここまで、異動願いの概要について見て来ましたがご理解いただけたでしょうか。
前述のように、異動願いを希望する理由は人によってさまざまなです。キャリアアップや就業エリアの変更など、異動願いを出すということは働く者にとってにとって大きな変化をもたらす機会となります。
続いて、「異動願い」を提出する際に心がけたいポイントを3つ解説していきます。希望する異動を実現するため、ぜひ参考にして下さい。
異動願いの豆知識1:異動願いを提出する人
異動願いを出す際の基本的な順番は、まず直属の上司への報告および相談から始めましょう。
上司との関係がそれほど近しいものではない場合でも、直属の上司より上の人物や、人事権を有する人事部・総務部宛てに提出してしまうと、上司との関係が悪い方向へ行ってしまう可能性が出て来る場合があります。
上司との関係が構築されていなくても、勇気を振り絞って直属の上司を通すようにしましょう。
異動願いの豆知識2:異動願いを提出する時期
異動願いを出す時は、希望している時期の最低1ヶ月前には出すようにしましょう。
家庭の事情など、どうしても早急に伝えなければならない場合を除いて、会社の繁忙期や年度頭、年度末など、会社にとっても悪いタイミングは避けるようにしましょう。
提出する時間としては、勤務時間内に「ちょっとお話したいことがあるので、お時間をいただいてもよろしいでしょうか」と切り出し、1対1で話ができる場を設けてもらいましょう。
異動願いの豆知識3:異動願いを提出するタイミング
会社で人事異動が行われる時期を確認しておきましょう。
その時期にタイミングを合わせて異動願いを提出することにより、すんなりと他の人達の人事異動に紛れることも可能だからです。
異動の希望時期を人事異動の時期に合わせて記載しておけば、受理された場合にスムーズに希望を聞き入れてもらえやすくなります。
異動願いの基本を押さえてスムーズに希望が伝わるよう配慮しよう
異動願いの理由を明確にし、提出するタイミングにも配慮するようにしましょう。異動願いを希望しているのに、なかなか言い出せずにいる人は意外と多いでしょう。
異動願いは、自分勝手な理由ではなく、「自分のキャリアを伸ばすためのステップにしたい」、「違う仕事に挑戦してみたい」という熱意を、うまく直属の上司に伝えられれば異動願いの希望は叶うでしょう。