自己都合で現在の会社を退職しようとしている方、会社の営業不振により退職を余儀なくされてしまった方、退職届の提出を求められたが、記入方法がわからないという人もいることでしょう。

今回は、自己都合と会社都合での退職届の記入方法の違いについて紹介させていただきます。

退職事由とは

退職事由とは、会社を退職する際に退職届へ記入を行う退職理由のことを指します。自らの意志で退職を経験されたことがある方は「一身上の都合」などと退職届に記入したこともあるのではないでしょうか。

テンプレートのように扱われている文言である「一身上の都合」ですが、退職事由の文言というものはその限りではありません。そのため、今回は退職届における正しい退職事由の記入方法などをご紹介させていただきます。

退職届と退職事由の書き方の手順6つ

退職をする際に必要となる退職届ですが、企業専用のフォーマットが通常ありますので、そちらへ記入していきましょう。また、企業によってはフォーマットそのものがない場合もありますので、注意が必要です。

ここでは、フォーマットがない場合の退職届への記入方法をご紹介させていただきます。

フォーマットがない場合

本人都合で退職を行う場合、まず退職をしたいという旨を直属の上司へ伝えます。この作業がまず退職願になるのですが、退職届とは違い口頭や文章での通達を行います。退職願が受理されて初めて退職届の記入に移行します。

退職届を記入してくださいと指示があったものの、企業によってはフォーマット自体がないこともありますので、フォーマットがない場合はA4やB5用紙をまず用意しましょう。

A4やB5用紙に縦書き

A4やB5用紙を用意したら、用紙の右側から縦書きで必要事項を記入していきます。記入する項目は限られていますし、長々と退職事由を記入する必要もありません。とても簡単に誰でも記入することができますので、安心して手順を踏んでいきましょう。

なぜ縦書きの記入なのかと言いますと、縦書きの文書は格式を重んじる文書に最適な形であるためとされており、ビジネス的なマナーの要素が含まれているからです。

手順1:一行目中央に退職届と記入

ビジネス的な横書きの文書でもタイトルを中央に記入しますが、縦書きの文書でも同じくタイトルを中央に記入します。右端中央にバランスよく「退職届」と記入をしましょう。

手順2:二行目最下部へ私儀と記入

タイトルの記入が終わったら、二行目の最下部へ「私儀」と記入をしましょう。「私儀」とは挨拶状に使用される正式な文言であり「自身に関して述べます」と表明するために書き出しに使用される文言です。読み方は「しぎ」ではなく「わたくしぎ」となります。

手順3:三行目から四行目にかけて退職事由を記入

二行目に私儀の記入をしたら、三行目から四行目にかけて退職事由を記入していきます。書き出しから退職事由を記入するのではなく、書き出しは「このたび」となりますので注意しましょう。

退職事由が自身の都合と会社都合で異なってきますが、まずは自身の都合で退職をする場合の例文を紹介します。

「このたび、一身上の都合により、勝手ながら、◯年◯月◯日をもって退職いたします。」ここまでが三行目から四行目となります。

手順4:五行目に届け出の年月日を記入

三行目から四行目にかけて退職事由を記入したら、次は届け出の年月日を記入しましょう。

通常、実際に届けを提出する日付を記入するのですが、企業によっては届け出年月日を指定される場合がありますので、自分にとって不都合がない限り、企業に指定された日付を記入しましょう。

手順5:宛名より下に自分の所属部署と氏名

日付の記入までが完了したら、次は所属部署と氏名の記入を行います。所属部署と氏名は分けて書くこと、記入位置は退職事由より下で、退職届の届の文字から一文字下から記入すると綺麗に見えます。

所属部署を記入したら所属部署の最後の文字に被るよう行をずらし氏名を記入していきます。

氏名を記入したのち、必ず印を押しましょう。日本は印鑑社会なので、印を忘れてしまうと正式な文書になりません。

手順6:最後に宛名を記入して完成

宛名は必ず自分の氏名より上の位置に記入しましょう。宛名を自分の名前よりも上の位置に記入することで、遜った形式の文書となります。

まず企業名を記入し、一つ行をずらして退職する企業の最高執行責任者の役職と氏名を記入します。氏名を記入したら最後に敬称の「殿」をつけて完成です。

退職事由の書き方

前項でも述べたように、退職事由は自己都合での退職と会社都合の退職では記入方法が変わってきます。会社都合の退職であるのにも拘らず、一身上の都合で退職と退職事由を記入してしまうと、勝手に自己都合での退職扱いとなってしまう可能性がありますので、注意しましょう。

ここでは会社都合での退職事由の書き方をメインにおき、自己都合退職の場合においては少し注意が必要な場面もありますので、併せてご紹介していきます。

会社都合の退職の場合

会社都合の退職の場合、退職事由は会社との相談で退職事由の記入が決まることが多いことでしょう。例えば、会社の業績が上がらず経営不振に陥ってしまった場合、どうしても人員削減をしなければならなくなったなど、会社からお願いをする形で退職を促されるような形になります。

こういった場合、退職事由は「このたび、業績不振に伴う◯事業所閉鎖のため」や「事業所縮小のため」、「早期退職のため」と記入することが一般的です。

自分の都合で退職する場合

一般的には自己都合で退職する場合、退職事由は「一身上の都合で」と記入することが通例となっています。ただし、その自己都合での退職は本当に自分で意思表示を行い決定したものでしょうか。

もし会社から自己都合での退職を促されているようでしたら注意が必要です。まずは自分の心と向き合い、本当に自己都合で退職するのかよく考えましょう。

そうでない場合、会社と自分自身が納得するまで話をして退職事由を記入しましょう。

その他の退職事由の書き方

退職届や退職願、その他にも退職事由を記入しなければならないものがあります。代表的なものですと、履歴書や職務経歴書など、求職関連の書類が挙げられます。

こういった書類の場合、どのように記入していくことが望ましいのか、例文を併せて紹介させていただきますので、参考にしてみてください。

職務経歴書

転職活動をしていると、職務経歴書の提出を求められることもあります。前述のように履歴書のみの提出が求められる面接では退職事由を履歴書に記入するのですが、職務経歴書の提出を併せて求められている場合においては、退職事由を履歴書ではなく職務経歴書に記入します。

職務経歴書では、履歴書のように退職事由を簡易的に記入するのではなく、なぜ辞めたのかをきっちりと説明がつくように記入することが望ましいでしょう。

履歴書

面接では必ずといっていいほど履歴書の提出を求められますが、職歴をみた面接官が質問することと言えば、前職をなぜ辞めたのかという質問です。職歴の間に退職事由を挟むことで、特に会社都合の退社の場合、会社都合であれば致し方ないと面接官に与える印象が格段に変わります。

記入方法は職歴の間に「自己都合による退社」もしくは「会社都合による退社」と簡易的に記入し、履歴書のみの面接では退社理由を口頭で説明しましょう。

退職事由の書き方を知ろう

退職事由の書き方は自己都合と会社都合で記入の仕方が違います。自己都合の退職でない場合は、必ず会社と相談をして退職届に記入する文章を決めていきましょう。

退職事由は、退職願や退職届だけに記入するものではありません。履歴書や職務経歴書に記入する退職事由は、自己都合と会社都合で面接官に与える印象が違います。

上記を必ず踏まえた上で、届出書類や求職活動の書類に退職事由を記入していきましょう。