職場などで孤立しやすい人と聞くと、どのようなイメージが湧くでしょうか。あなたは、毎日過ごしている職場やクラスで、孤立していると感じることはありませんか?

ここでは、職場やクラスで孤立しやすい人について、その特徴や心理を考え、孤立から抜け出す方法を見ていきます。

孤立して自分の居場所がないと悩むあなたへ

あなたは、毎日過ごす職場やクラスで「孤立している」と感じることはありませんか?「ただ一人で過ごしている」ということと「なぜか周りが離れて孤立してしまう」と言うのは、意味が変わってきます。

「孤立しやすい人」は、なぜ孤立してしまうのでしょうか?ここでは、「孤立しやすい人」について、特徴や心理的原因を詳しく考えていきます。最後に孤立から抜け出す方法をご紹介しますので、自分を振り返って考えてみましょう。

孤立しやすい人の特徴

まずは、孤立しやすい人の特徴を見ていきます。もし、今は孤立していると感じていなくても、思い当たる項目があれば注意が必要です。本当に孤立してしまう前に、自分の行動を振り返ってみましょう。項目は全部で5つです。あなたに心当たりはありませんか?

(1)自分から話しかけない

孤立しやすい人の特徴としてまず挙げるのは、「自分から話しかけない」ことです。話しかけない理由としては、「緊張しやすい」「明るく振る舞おうと不自然になるのが嫌」「何を話したらよいか分からない」などがあげられます。

どんな理由であれ、周りの人は、会話をしようとしないあなたを見て、「人と関わるのが嫌いなのか」「自分が嫌われているのか」と感じてしまいます。話が出来ない本当の理由には誰も気づいてもらえないまま、孤立してしまうのです。

(2)ネガティブな発言が多い

孤立しやすい人は、ネガティブな発言が多いのも特徴です。「誰かの悪口を言う」「怒りや焦りなどの感情が表に出やすい」「細かい問題を指摘して、周りを戸惑わせる」「言葉遣いが悪い」など心当たりがある人は、自分が孤立していないか注意が必要です。

ネガティブな発言で周りが同調していても、実際は、その場にいる多くの人が不快な気持ちになっているかもしれません。「この人がいると楽しくない」と思われることが、孤立していく原因につながります。

(3)自己中心的な態度を取る

自己中心的な態度を取ることは、間違いなく孤立の原因になります。例えば、「(あいさつや感謝など)人への敬意が感じられない」「高圧的」「マイペース過ぎて仕事が遅い・自分の仕事以外は無関心」などの態度を、気持ちよく受け取れる人はいません。

他の人たちの気持ちや都合を考えずに、自分の都合や気持ちだけを押し付ける人には、誰もついていけなくなり、孤立してしまうのです。

(4)だらしない・がさつな振る舞いが目立つ

孤立しやすい人の特徴、次は「だらしない・がさつ」などです。なかなか自分では気づきにくいところですが、周りの人は目立つ人のことをよく見ています。 身だしなみや清潔感だけではなく、普段の歩き方・物を置くときの所作・引き出しを開閉する音など、周りを気にせずバタバタと音を立てていませんか?

だらしない人は、仕事についても、細かいところに気持ちが行き届かないケースが多いです。周りの人は、そのような人の身なりや行動が気になってしまい、不快になることを避けるため、だんだんと離れていきます。本人も気づかないうちに、孤立してしまっているのです。

(5)「良い人」を演じている

孤立の原因が分からない人は、孤立を恐れて「とりあえず良い人と思われるように行動しよう」と思っていませんか?自分では笑顔で話をしているつもりでも、「良い人を演じている」人には、不自然な表情やしぐさが見られ、その場にいる人たちを緊張させてしまいます。

また、人に意見を言うのが怖くて、主張がハッキリしないことや、自分の弱点をひた隠しにすることも、周りから見ると「何を考えているか分からない」と思われてしまいます。 違和感がある人とは、一緒にいると気を遣って疲れてしまいます。嫌われたくなくて頑張る姿が、逆に孤立を招く原因になります。

孤立しやすい人に共通する心理的原因

ここまで、孤立しやすい人の特徴を挙げました。それでは、このような振る舞いをしてしまうのはなぜでしょうか。孤立しやすい人は、どのような心理を持っているのでしょうか。孤立しやすい人たちに共通する心理的な原因を、大きく4つに分けて考えます。

(1)自分に自信が持てない

孤立しやすい人の特徴を見ると、心の底には「自信が無い」という心理を抱えていることが考えられます。話しかけないことで自信が無いことをそのままにするか、あるいは、自信を持つために行動するか、という違いではないでしょうか。

自信が無いために認められようとする気持ちには、孤立する要素はありません。しかし、自分に嘘をついていたり無理をしていると、その不自然さは周りの人にも伝わってしまいます。違和感のある人を何となく遠ざけたくなるのも、人間の心理です。

(2)自分のこと以外に余裕を持てない

孤立しやすい人の様々な特徴に当てはまる心理的原因が「自分以外のことに余裕がない」ことであると言えます。 「自分を理解してほしい」「自分を好きになって欲しい」「自分を認めてほしい」という気持ちは、多かれ少なかれほとんどの人が持っています。しかし、周りの人の気持ちなどに目を向けずに自分の欲求だけを通していては、孤立につながってしまいます。

(3)「他人から見た自分の姿」が分からない

孤立は嫌だけれど原因が分からないという人の中には、他人の目をあまり気にしていない人もいます。あるいは、他人の目を気にしていても、自分の振る舞いが他人にどう映るか、客観的に見ることが出来ない人がいます。

そのような人にも、他人の振る舞いに嫌気がさすことはもちろんあるのですが、自分が周囲から疎まれるような振る舞いをしているとは、夢にも思っていないのです。そのため、自分の振る舞いを見直すことも出来ずに、だんだん孤立してしまいます。

(4)好かれたい・評価されたいという気持ちが強すぎる

好かれたい・評価されたいという気持ちは、自然な欲求であると言えます。しかし、その欲求が強すぎて、過剰なほどに周囲からの評価を求め、無理なアピールをする人もいます。

中には、周りの評価を落として自分が上に立とうとする人もいます。 これは、自分が常に優越感を持っていたいという、歪んだ承認欲求の表れです。その過程で落とされた周りの人は、心穏やかではありません。当然、このような行為は孤立することにつながってしまいます。

孤立するかどうかは「コミュニケーション」で決まる

ここまで、孤立しやすい人の特徴と心理を見てきました。それでは反対に、これらの特徴や心理を抱えている人は、誰もが必ず孤立してしまうものでしょうか? 実際には、同じような特徴や心理を持っている人でも、孤立することなく周囲と円滑な関係を築いている人はたくさんいます。

ここにもう一つ重要な、孤立しやすいポイントがあると考えられます。 それは、「相手とのコミュニケーションの取り方」です。孤立しない人は、どのように周りの人とのコミュニケーションを取っているのでしょうか。孤立を抜け出すコミュニケーションの方法や、気持ちの持ち方について、後の項目で考えていきましょう。

孤立を抜け出す職場コミュニケーションの方法

ここでは、孤立を抜け出すためのコミュニケーションの方法を考えます。コミュニケーションの方法と言っても、話し方や言葉の使い方などの小手先のテクニックの話ではありません。 孤立しやすい人は、職場でコミュニケーションを取ろうとするときに、どのように心掛けていけばよいでしょうか。孤立から抜け出すために大切なポイントを5つ紹介します。

(1)うまく話そうとしない

孤立しやすい人がぶつかりやすい壁は、「周りの人とうまく話せない」と言うことではないでしょうか?「自分が考えが理解されないかもしれない」「自分が話して場がしらけたらどうしよう」ということを先に考えてしまい、恐怖で話が出来なくなることがあります。 これは、無理に「うまく話そう」と考えないことが一番です。「失敗してもいい」と思って言葉を発してみましょう。

前置きとして「うまく言えないんですが…」と一言添えて話を切り出してみると、相手も、落ち着いて話を聞いてくれるかもしれません。 練習として、立ち寄った店の店員さんに、質問やお願い事を素直に伝えてみることも有効です。または、話しやすい雰囲気を持った人に、率直に自分の意見を話すなど、少しずつ慣れるよう実践してみましょう。孤立から抜け出すためには、自分が話せる機会をたくさん持つことが必要です。

(2)あいさつ・返事・感謝・報告を大切にする

仕事を円滑に進めるためにも、孤立から抜け出すのは必要なことです。何気ない雑談が苦手な人は、基本的なあいさつや返事、感謝、報告事項だけでも、きちんと顔を見て伝えられることを目指しましょう。 あいさつは自分から相手を見て声をかけます。作業でパソコンの画面を見ているときに声をかけられたら、手を止め、顔を見て返事をします。

人から何かをしてもらって助かったなら、感謝の気持ちをしっかり伝えます。報告は、結論を先に、経緯の説明は後から話します。 自分の態度を変えたら、相手はあなたに対する印象が変わり、孤立していたあなたに、気軽に接してくれるようになるでしょう。これも、慣れるまで意識的に実践していきましょう。意識せずにその振る舞いができる頃には、きっと孤立から抜け出しているはずです。

(3)言葉だけに頼らず態度で表現する

孤立しやすい人の中には、言葉のコミュニケーションに困っている人も多いのではないでしょうか?言葉で素直な気持ちを伝えにくい人は、態度で見せることも意識してみましょう。 あいまいな返事で不安を持たれがちな人は、仕事への取り組み方次第で、業務を理解していることが伝わります。

言葉足らずでも、笑顔で対応をすることで、相手への関心があることが伝わります。 日々の業務に真摯に取り組んでいることは、誰かが見ているものです。コミュニケーションが苦手でも、素直にまじめな態度で仕事をしていれば、孤立することはなくなるでしょう。

(4)自分の振る舞い一つ一つを意識する

自分で意識していなくても、「落ち着きがない」と言われたことがあれば、それが孤立の原因かもしれません。自分の行動に心当たりがない人は、どんなところがそのような印象を持たれているか、思い切ってその人に聞いてみましょう。

自分が意識していなかったところに気づくだけで、振る舞いは大きく変わります。最初は、細かいところを気にするのは苦痛かもしれません。慣れるまでは、客観的に自分を見ることを意識して、身だしなみや所作など、落ち着いた印象を与えられるように気を付けましょう。

落ち着いて過ごすことができるようになれば、周りも落ち着いてあなたと接することが出来ます。徐々に孤立から抜け出し、周りとのコミュニケーションもスムーズになるでしょう。

(5)周りの人も自分と同じ人間であると知る

孤立しやすい人は、「自分以外の人は自分とレベルが違う」と思いがちです。人が苦手で萎縮してしまう人なら、皆が自分より優れているように見えますし、高圧的な態度が出てしまう人は、反対に、自分が誰よりも優れているように感じてしまうでしょう。

しかし、職場の外に出れば、誰もが同じ「人間」です。それぞれの人に、仕事以外の生活があります。年齢や立場の違いはありますが、誰もが同じように、様々なことに悩んでいるかもしれません。人に認められれば嬉しいと感じ、雑に扱われれば傷つきます。

人の立場に立つことは難しいですが、それぞれに日常生活があることを考えたら、自分以外の人のことを、少しは思いやることができるのではないでしょうか。それに気づくだけでも、自分の心が柔らかくなり、孤立から抜け出す第一歩になります。

孤立から気楽に抜け出そう

孤立しやすい人について、いろいろな面から解説してきました。孤立していると感じている人も、周りを見渡してみると、わずかでも自分の話に気軽に答えてくれる人がいるのではないでしょうか?もしかしたら、それは孤立ではなく、自分の殻に閉じこもっているだけかもしれません。

「自分は孤立しているかも」と思う気持ちは非常に心細いものですが、自分ができることから、少しずつ、今回ご紹介した「孤立から抜け出す方法」を実践してみましょう。

「相手の態度は自分の態度を表す鏡である」とも言われます。自分が変われば、相手も変わっていくという意味です。 自分や周りの変化を恐れずに、気持ちを楽にして孤立から抜け出しましょう!