今や老若男女関係なく遊べるようになったスマホアプリ(ソーシャルゲーム)ですが、子どもが親の知らぬ間に課金をして、とんでもない請求額が届く・・・という問題が数多く発生しています。

そのような事態が発生した場合、親にとって目下最大の問題は、『この請求を何とか取り消せないか(キャンセルできないか)』だと思います。

この記事では、子どもが勝手に課金してしまった場合、どのような対処方法が取れるかを解説していきます。

請求の取り消しは特別な対応であることを認識しておく

本題に入る前にあらかじめ認識しておくべきは、『請求の取り消しがされるのは特別なケース』ということです。

現在のソーシャルゲーム(以下ソシャゲ)は、利用前もしくは課金前に、ユーザーが親の同意を必要としない年齢にあるかどうか(判断に対する責任能力を問う)を確認するステップが出てくることがほとんどです。

これに同意するということは、その時点で課金という行為によって発生すること(請求が発生すること等)を了承したと見なされます。

親からすれば「そんなの同意ボタンを押せば誰でも通過できてしまう。身分証の提出を求めたりしているわけでもないし、子どもでもよく分からないまま進めてしまえるようにしているシステムの方に問題がある。」と思うかもしれません。

しかし、客観的に見ればたとえ理由はどうあれ、同意している時点でユーザー側に責任が生じていることに変わりはありません。

そもそも、子どもが簡単に課金できてしまったのは何故でしょう?

親であるあなた自身は、課金がどのようにして行える仕組みかちゃんと理解できていますでしょうか?そうした事態が発生するのを未然に防ぐための方法が存在しているのはご存じだったでしょうか?その方法をしっかり設定していたでしょうか?

これを読んで「請求を取り消す方法を知りたいのであって、そんな糾弾をされる筋合いはない!他人事だからそう言える!」と怒る方もいるでしょう。

しかし、ここを省みておかないと、今後また同じ事態を招く可能性が高いです。

詳しくは次項で解説しますが、まずは「請求の取り消しは、100%確実に(当たり前に)されることではない」ということだけは、心に留めておいてください。

今後の再発防止策を徹底する

大前提として、子どもが親に無断で課金できてしまった原因は、間違いなく親の方にあります。

具体的に挙げると以下の通りです。

・課金時にパスワードが必要な設定をしていなかった
・親がパスワードを入力するところを子どもが見ており覚えられていた
・親がパスワードをメモに控えていて、それを子どもに見つけられていた
・課金に必要な決済手段の情報(クレジットカード等の情報)を削除していなかった
・親の財布から子どもがクレジットカード等を抜きだし課金時に登録されていた

親は「子どもに課金の知識などあるわけがない」と思っているかもしれませんが、今時の子どもは親より遥かにその分野の知識を持っています。

インターネットでたくさん情報がありますし、学校の友達に詳しい子がいれば聞けるので、学ぶ機会に困ることはありません。

「まさかウチの子に限って・・・」とほとんどの親が高をくくっていますが、その思い込みが招いた事態であることを肝に銘じておきましょう。

そして、今後のために必ず、以下の対策は最低限取っておかなければなりません。

・子どもとしっかり向き合い話し合う
・課金時にパスワードを求められる設定を有効にしておく
・パスワードは変更しどこにもメモしておかない
・親の財布や貴重品は、鍵のかかった棚などに厳重に保管し、子どもが絶対に触れないようにしておく

場合によっては、子どもからスマホを取り上げる等の手段も取るべきです。

それくらい、子どもがしたことがどれだけの問題かを親も子どもも自覚する必要があります。

プラットフォーム会社に問い合わせ

ほとんどのスマホゲームは、androidであればGoogle Play ストア、iPhoneであれば App Store からインストールして利用します。

そして、アプリへの課金にはこれらのストアに(厳密にはGoogleアカウントや Apple ID に)お支払い方法としてクレジットカード情報等を事前に登録しておくことで、決済が可能となります。

こうしたGoogle Play ストアや App Store をプラットフォームと呼びますが、まずはこれを運営する会社(GoogleやApple)に請求の取り消しが可能か相談してみましょう。

Google Play ヘルプ-お問い合わせ-

Apple サポートへのお問い合わせ

各プラットフォーム会社は、それぞれ請求の取り消しに関する事項を規約に定めており、ユーザーからリクエストがあった場合、これに基づいて取り消しを承認するか否かが判断されます。

Google Play での払い戻しについて

Apple から購入した App やコンテンツの返金手続きをする

但し、ここで承認がされない可能性もあることは、事前に理解しておきましょう。

※取り消しが承認されないからといってごねたり、感情的に怒るのは絶対にやめましょう。それは規約に基づいての判断なのでその場で何かを言おうと判断が覆るものではありません。

また、よくありがちなのが民法の『未成年者による契約の取消について』を主張し取り消しを迫る行為ですが、これは法律の話であって、各プラットフォーム会社の定める規約とは全く別のものです。

もしこれを盾に取り消しを迫るなら、専門家である弁護士に依頼すべきであり、法律の素人が中途半端に聞きかじっただけの知識で主張するのはやめましょう。

プラットフォーム会社の担当者も人間なので、あまりに責め立てるようなことをすると心象が悪くなるだけで良いことはないです。

そもそもの発端は親側に非があり、あくまで『お願いする立場にある』ということを忘れないようにしてください。

ソシャゲ運営元に問い合わせ

プラットフォーム会社では請求の取り消しが承認されなかった場合、次に取れる手段は課金したソシャゲを運営している会社へ相談することです。

ソシャゲ運営元の情報は、Google Play ストアもしくはApp Storeの各アプリのインストールページに記載されています。

但し、ほとんどの運営元はメールによる問い合わせのみ受け付けており、電話やチャットではできません。

また、運営元が海外の会社だと、回答がおかしい日本語で返ってきたり、そもそも回答が返ってこない場合も十分有り得ます。

この時にその点についてプラットフォーム会社へ再度相談(報告)する親がいるようですが、ハッキリ言ってあまり意味はありません。

報告したからといって直ちに是正勧告がされて、ユーザーに回答が来るなどという期待はしない方が良いです。

また、ソシャゲ運営元でも請求の取り消しについては規約を定めていますが、承認されるか否かはケースバイケースです。

消費生活センターに問い合わせ

請求に困った人が頼る行政機関の1つが、消費生活センターでしょう。

但し、相談したからといって安心というわけではありません。

彼等は直接的にプラットフォーム会社やソシャゲ運営元に指導して、請求の取り消しをしてくれるわけではないです。

請求の取り消しをするための方法(正確には取り消しを依頼するために必要な手順等)を教えてくれるだけで、特別な権限はなく、特別な連絡窓口を持っているわけでもありません。

彼等がいるからもう大丈夫などと慢心するのはやめておきましょう。

弁護士に相談

上述の手段を試みてもダメだった場合、残る手段としては弁護士に相談してみるというものがあります。

先程の『未成年者による契約の取消について』を根拠に、法律的に請求の取り消しが可能か、可能であるようならば弁護士に手続きをしてもらう方法です。

但し、実際に弁護士に依頼して行うとなれば、当然諸費用は必要となります。

相談を無料で受けてくれるところはよく見かけますが、無料でどこまで教えてくれて、その先がどうなるかは別の話です。

弁護士も慈善事業でやっているわけではないので、何の対価も払わず済むことはないはずです。

子どもによって発生した請求金額と、弁護士への依頼料や裁判費用を比べてみた時、果たしてどちらが良いのか。

また、仮に裁判となった場合、手間も時間もかかることを踏まえた上でも、挑む覚悟があるのか。

よく考え家族と相談して決めるべきだと思います。

責任を持って支払うことも大切

ここまで『請求の取り消し』ということに焦点を当ててその手段を解説してきました。

ただ、最後にもう1度繰り返しますが、本来であれば子どものした課金は親が責任を持って支払うべきものです。

様々な主張はあると思いますが、何をしてもどうしようもないことはあります。

もちろん取り消しが認めれるまで断固戦うことは個人の自由ですし、100%不可能ということもないと思います。

しかし、自分の望む結果を得られるまでには決して楽ではない道のりになることに間違いはありません。

それでもやるか、本来の責任を果たすか。

全て選ぶのは自分であり、最後まで味方でいてくれるのも自分自身だけということはよく覚えておきましょう。