営業職は、社会人に不人気な仕事の1つです。
その理由は、厳しいノルマ・とてつもない残業・理不尽な叱責・・・と、ネガティブなイメージがたくさん根付いていること。
しかし、「営業職だけはやめておけ」という意見がある一方で、「営業スキルはどんな仕事にも必要だから若いうちに経験しておくべき」という意見もあって、どちらが正しいのか分からなくなりがちです。
僕はかつて人材派遣会社の営業職で働いた経験があり、それを踏まえた上で言いますと
営業職はやめておいた方が良い
というのが結論です。
この記事では、その理由を6つ解説していきます。
営業職の経験が武器になるのはごく一握り
はじめに誤解のないよう申し上げておくと、営業職はしっかりとした仕事であり、決して悪いものではありません。
かつて営業職でバリバリ活躍し、今は起業して成功を収めているような方もいます。
しかし、そのようになれるのはごく一部で、多くの人は営業職につくとその厳しさと理不尽さに苦しむこととなります。
人間としての思いやりの心を失う
営業職の仕事は、突き詰めれば『商品・サービスを販売し売上を出すこと』です。
どれだけ崇高な理念を掲げていても、どんなに綺麗事を言おうとも、この事実は変わりません。
つまり、どんな言葉も行動も、売上に繋がらなければ意味がありません。
今の時代、インターネットが発達したおかげで欲しいものは自分で検索すれば、簡単に買えるようになりました。
そんな中でこちらからまともに営業をかけたところで、売れる見込みがまずないことは明白です。
ではどうしたら商品・サービスを買ってもらえるか?それは『あらゆるセールストークや心理テクニックを用いて、時には嘘をつき誇張をしてでも売る』という気概が必要なのです。
事実、僕が新人時代に上司と先輩に教わったのは、「バレる嘘はダメだけど、確認しようがない嘘で交渉を有利に進められるならバンバン使え」ということでした。
営業で売り上げをあげようとすればするほど、正攻法では限界があるため、こうした手段が当たり前のように使われます。
すると段々、人間としての大切な思いやりが消失していくのを自覚するようになり、大変危険です。
古い習慣が根強く残っている
営業職には、未だに古く時代遅れな習慣が残っている会社があります。
・新人は誰よりも早く出勤して掃除や雑用をする
・宴会には強制参加。上司には酒をお酌して回る
・休日だろうが何だろうが、お客様から連絡があれば対応する
・プライベートよりも仕事優先が当たり前
・定時を過ぎてからが本当の仕事
働けば働くほど心身に負担が溜まり、休職・退職する人や見るからに心が限界を迎えている人を僕も数多く見てきました。
それに対して、上司や先輩は何も言わず「いつものこと」と言わんばかりに平然と仕事を続けていたことに、僕は恐怖を覚えました。
休日が休日ではなくなる
営業職は業務端末を貸与されることが多く、電源は商談中などを除いて、何があっても切ってはいけません。
それは自分が休日であっても変わらず、もし顧客や会社から連絡が来れば、必ず出なければならないのが暗黙のルールです。
この状況に置かれると、いつどんな連絡が来るかも分からず、落ち着ける時間がありません。
家族や恋人や友人と過ごす楽しい時間も、1人で過ごすゆっくりできるはずの時間も、無くなってしまう可能性があるのです。
パワハラ・セクハラが当たり前にある
営業職は体育会系の気質であることが多く、先輩や上司からのパワハラやセクハラは当たり前に存在します。
僕がいた会社では、宴会の席で社長が新入社員の女性に無理やりキスをしたり、上司が外回りに同行した女性社員に無理やり抱きついたというエピソードがありました。
また、女性を見下すような発言をしていることも数多くあって、辞めていく女性社員がたくさんいました。
男性社員は、少しでも成績が悪いと社長から延々と怒鳴られ、営業電話を立ちながらかけることとなり、僕もやらされた経験があります。
夏も冬もカッチリなスーツ
営業職にとって、スーツでいることは当然とされています。
それはいいのですが、夏であろうとクールビズを認めず。冬であろうと取引先の会社の敷地内に入る前にはコートを脱がなければならないという意味の分からないルールが存在します。
特に夏は、日差しの照り付ける猛暑の中を、汗だくになりながら外回りすることになるので地獄です。
ふとカフェに立ち寄ると、同じような境遇と思われるビジネスマンがぽつぽつおり、何とも言えない気持ちになったことは今でも覚えています。
得られるスキルが少ない
「営業職はコミュニケーションスキルが身に付く」と得意気に主張するおじさん達がいます。
しかし、このスキルほど客観的に証明できず、曖昧なものはありません。
そもそもコミュニケーションなど、社会人として働いていれば多かれ少なかれ必要に迫られ、身に付いていきます。
営業職だから特別なコミュニケーションスキルが身に付けられるわけではなく。資格などの形として保証されているわけでもないのです。
営業職の求人を見ると、『未経験・資格要件無し』となっているものが非常に多いのは、『誰でもできる仕事』であることの裏返しであり、離職率が高く慢性的な人手不足であることを示しています。
自分が何をしたいか・何なら楽しめるかを考える
仕事において1番大切なことは、『自分がやっていて楽しいか』です。
もちろんどんな仕事でろうと大変なことはありますが、それも含め前向きに取り組めるものが、自分に向いている仕事だと思います。
営業職も同じで、もしやっていて楽しいと思える、または思えそうであれば、ぜひチャレンジしてみるべきです。
しかし、少しでもネガティブな未来が見えるのであれば、やめておいた方がいいでしょう。
自分に合う仕事が何か分からない場合は、自己分析をすることも必要です。