現代社会で大きな問題となっているものの1つに、メンタルヘルス不調があります。

厚生労働省が実施している自殺の統計でも、その要因の1つに『勤務問題』が挙がっており、対策が急がれています。

自殺の統計:各年の状況 |自殺対策|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

ひと昔前は「こころの病気なんて気のせい」とか、「そんなのみんな同じように抱えてる」なんてことを言う人も多かったですが、これは全くの間違いで今では誰もがなる可能性のあるものという認識が広まりつつあります。

僕自身、6年ほど前に1度、メンタル面の不調から退職をした経験があります。

この記事では、その経験をもとにこれがあったら要注意なメンタル不調のサイン(兆候)を7つ、解説していきます。

人によって表出する症状は千差万別

はじめに1つ覚えておいてほしいのは、これから解説する症状は僕自身が経験したもので、実際には人の数だけ症状に細かい差異があるということです。

例えば普段からお酒やタバコを嗜んでいる方は、その量や回数が増えることがあるといった具合に、「この症状があるからそうだ」とか「この症状がないから違う」などということを一概に判断することはできません。

そのため、今の自分の状態について少しでも不安がある場合は、必ず専門医の診察を受けましょう。

その際は、会社に「病院で診察を受けようと思っている」などの話は、絶対にしてはいけません。

その会社がブラックな場合、診察を受けられて(会社にとって)都合の悪い診断結果が出ては困ると思い、何とか阻止しようとしてくる可能性があるためです。

食欲が全く湧かない

以前は自然とお腹が空いて食欲が湧いていたのに、それが全くなくなったら注意が必要です。

特に元々胃腸が弱い方は、過度なストレスがあると本当に食事が喉を通らなくなることもあります。

僕の場合、以前はランチをファミレスなどで普通に食べていたのに、カフェのクッキーなどでお腹がいっぱい(それも多少無理に食べていた)になってしまうという状態になりました。

仕事が終わった夜には若干食欲が戻るのですが、出勤前の朝や休憩中の昼には驚くほど湧かない毎日で、体重が5キロほど落ちたのです。

当たり前ですが、食事は大事な栄養補給であり、食事不振が長く続くと身体の健康状態に大きな悪影響を及ぼすことになります。

この症状が継続する場合は、絶対に放置してはいけません。

電車をわざと乗り過ごすようになる

「会社に行きたくない」という気持ちが大きいと、電車に乗る足取りが重くなったり、動かなくなることがあります。

そうすると、始業時間のギリギリまで電車を乗り過ごしたり、それさえも乗れなくなり遅刻や欠勤が増えたりします。

僕の場合、その電車に乗ったら1駅で会社の最寄り駅に到着するものがあって、どうしても足が進まない状況に陥りました。

これの危険なところは、ふと頭に「あの電車にひかれたら、会社行かなくて良くなるよな・・・」とよぎる瞬間があることです。

そこで我に帰れればいいのですが、そのまま無意識にホームへフラフラ歩いてしまう可能性も十分あります。

通勤に電車を使う方は、「会社に行きたくない」という気持ちが芽生えていて電車に乗ることに抵抗を感じるようになったら、そのまま会社を休み病院へ行きましょう。

会社に近づくほど気分が沈む

ほとんどの方は会社に向かうのが嫌で、気分が沈むものだと思います。

ただ、メンタルに不調を抱えるようになると、この沈み具合が半端ではありません。

たとえるなら、この世の終わりというレベルで沈みます。

そして、「これから自分は死んだつもりであの会社で働かないといけない・・・」とか、「このまま誰も知らないようなところへ行ってしまおうか・・・」などと、様々な突拍子もないことが頭の中を巡ります。

もう1つこの症状の特徴としては、逆に会社から離れれば離れるほど、沈んだ気持ちがもとに戻ってきます。

会社との物理的な距離が、そのまま心の浮き沈みに直結するようになったら、それは『これ以上無理できない』という自分からのサインだと思いましょう。

会社にいる間ずっと緊張している

誰もが会社にいる間は一定の緊張感を持っていると思いますが、メンタルに不調があるとこの緊張感が心を埋め尽くすようになります。

いつ上司に説教や小言を言われるかはもちろん、同僚や後輩からの何気ない雑談にも恐怖心を抱くように。

当然仕事には全く集中できず、何もしたくないのでサボるようになり、成績も悪化の一途を辿ります。

僕は営業職だったので毎日外出していましたが、外にいる間は心が幾分か軽くなって、会社に戻ることが苦痛で仕方ありませんでした。

この状態が続くのであれば、早めに辞めることをおすすめします。

休日に何もする気が起きない

せっかくの休日も、次の日が仕事だと思うと、何もしたくなくなります。

僕の場合、それまではジムで筋トレをしたり、読書をしていたのが、そういったことをせずただただボーっと過ごすようになりました。

そして、頼むから時間がこのまま止まってくれとずっと願っていたのを覚えています。

本来であれば心身を休められる時間のはずなのに、このような状態になっている場合は、病院に行くことをおすすめします。

幸せそうな人を見ると落ち込む

自分が仕事中で、幸せそうにしている家族やカップルを見ると、とても気持ちが沈みます。

「あんな幸せな生活を、俺もしたい・・・」と、より絶望するようになるのです。

これに限らず、平常であれば何とも思わないはずのことにも、感情が大きく揺さぶられるケースも。

こうした感情の乱れは、放置しているといつ何がきっかけとなって爆発するか分からないので、大変危険です。

自分1人だけならまだしも、他人を巻き込む恐れがあるので、我慢して溜め込まないようにしましょう。

怒られても何も感じなくなる

ある一定の限界を超えると、どれだけ怒られても一切何も感じなくなります。

これは完全に心を殺しており、一見無敵のように見えますが、その状態でいることは何をしでかすか分かりません。

何より、普通の精神状態でないことは確かで、それに自分でも気付けないことが多いです。

もし周囲から心配される場合は、間違いなく客観的に見ておかしいということです。

メンタル不調は他人事ではない

冒頭でも言った通り、メンタル不調は誰もがなる可能性を秘めています。

そしてそのきっかけは人それぞれで、Aさんにとっては大したことがなくても、Bさんにとっては大きな出来事・・・と感じ方も捉え方も異なります。

自分で自分の傾向を掴むことは難しいですが、少なくとも苦しかったり辛いと感じることが慢性的にあると、どんな人もいつかは限界を迎えます。

心は身体と比べて、1度傷つくと修復に多大な時間がかかるばかりか、元通りになるかも分かりません。

そうなる前に、自分で「おかしい」と自覚できるうちに、適切な対処ができるかで冗談抜きに今後の人生が変わります。

あなたの心も身体も、この世に1つしかないということを忘れないでいてもらえればと思います。