「何かあったらいつでも気軽に相談しろよ。」

会社員として働いたことのある人なら、こんな風に部下に言っている上司を1度は見たことがあるはずです。

もしかしたらあなた自身、上司として部下に同じことを言った経験があるかもしれません。

しかしこう言われて、素直に遠慮なく相談しに来る部下はまずいないでしょう。

そして、ある日急に医師の診断書を持ってきて、休職や退職する…そんなケースは珍しくありません。

では何故、部下は何も言ってくれないのか。

そこには明確な理由があります。

この記事では、部下に相談されない上司が今すぐとるべき行動を解説します。

相談は『信頼』があってこそ

部下が相談してこない上司には、決定的に欠けているものがあります。

それが『信頼』です。

ここで言う信頼とは、具体的には以下のものを指します。

・怒らない
・何とかしてくれる
・ちゃんと話を聴いてくれる
・安心して話せる
・優しく受け止めてくれる

こうした信頼があって初めて、部下は上司に相談してくれます。

逆に言えば、部下が相談してこないという上司は、この信頼が不足しているあるいは全くないということ。

それを無視して部下に「相談してね」と言ったって、意味がありません。

では、部下から信頼を得るためには、どうすれば良いのか。

そのためには、以下の行動が必要です。

対話する時間を設ける

業務における指示や命令、管理をするのが上司の仕事ではありますが、これだけで部下の信頼を得ることはできません。

業務外の話題から部下自身のパーソナリティに触れ、共感や理解を示すことが大切です。

ただしここで注意しなければならないのは、一気に踏み込み過ぎないこと。

例えばいきなり恋愛のことを聴いてもまず答えてくれませんし、セクハラやパワハラとして捉えかねられません。

最初は自己開示を行い、「この人になら話してもいいかな」と思ってもらえるように、徐々に距離感を縮めていく過程が必要です。

真面目な話と雑談を織り交ぜつつ対話をすることです。

上司と部下の関係と言えども、その前にお互い1人の人間であることを忘れないようにしましょう。

普段から声掛けを欠かさない

部下のモチベーションの管理は、上司にとって最も重要な仕事と言っても過言ではありません。

仕事に対する姿勢はパフォーマンスに直結するので、これが低いと良い成績は見込めないでしょう。

それだけでなく、この状態が長く続くと退職する可能性もあります。

これを防ぐためには、普段から部下の顔色や様子を見つつ、声掛けしていくことが大切です。

人間は誰かが気に掛けてくれていると悪い気はしませんし、話しかけやすくなります。

また、上司としても普段と反応が異なっていたり表情が曇っているなど、違和感を察知しやすくなります。

何気ないこまめなコミュニケーションは、どこでも欠かせないものなのです。

自分を良い上司だと思わない

部下から相談されない上司ほど、自分のことを『良い上司』だと勘違いしがちです。

しかしこういう上司ほど、普段部下に対して威圧的・高圧的に接していたり、ワンマンなことをしています。

履き違えてはいけないのは、仕事ができることと良い上司であることは、決してイコールではないということ。

人望のある上司は、いるだけで安心感を与えられる、淀んだ気持ちを掬い上げてくれる存在であることが多いです。

日本社会では(仕事面で)優秀な人間を上司にすることが多いですが、それだけでは部下はついてきません。

まずは自分を(部下にとって)良い上司とは思わず、足りない部分がたくさんあると自覚し、部下に接していくことが必要です。

上の評価ばかり気にしない

部下は上司のことを、上司が思っている以上によく見ています。

機嫌の良し悪し、問題の対処に追われている、眠そう(笑)などなど・・・

上司が知らないところで、良くも悪くも気を遣っているものなのです。

なので、上司が上層部の評価を気にしている場合も、部下は敏感に感じ取ります。

ただ、上層部の言うことを鵜呑みにして部下に指示・命令しても、部下は動いてくれません。

それどころか、信頼をなくすだけです。

信頼される上司とは、部下の気持ちや意見にも理解を示し、上層部の無茶な要求に対してノーを返したり上手く濁すことのできる人間です。

そうすると、部下は「この人のために頑張らないと」と、協力的になってくれます。

部下を信頼する

『マイクロマネジメント』という言葉があります。

上司が部下に対して、細かいところまで報告を求めたり、指摘したりするいわゆるやりすぎた管理を指します。

そうすれば上司は安心できるかもしれませんが、部下にとってこれほど苦痛なことはありません。

何故なら、自分の裁量ではロクに動けず、気を抜いたりサボることもできなくなるからです。

部下からすれば「この人はこちらを信頼してないんだな」とも感じるので、次第にモチベーションも削がれていきます。

上司とは、部下を気に掛けいざという時のために保険は作っておきつつも、その範囲内では自由にやらせるのが理想です。

そうすると部下は安心して伸び伸びと仕事に取り組めます。

もちろん部下によって能力差があるのでそれが難しい場合も多々ありますが、そこにも柔軟に対応するのが上司のあるべき姿です。

上司が完璧である必要はない

部下にカッコ悪い姿や情けない姿を見せたくないと、変に張り切ってしまう上司がいます。

その気持ちは理解できますが、部下からすると完璧な上司は自身の劣等感を刺激しますし、近寄りがたい存在です。

それよりも、接しやすく他愛もない冗談を言える、そんな上司の方が遥かに居心地がいいもの。

なので、上司はおおらかに見守りつつ、部下の様子がおかしかったり困っているようであれば、前に出ていくくらいがちょうど良いのです。

目指すは完璧ではなく、いかに部下が安心を感じられるようになるか。

その点を意識しつつ、模索していくべきです。