派遣社員として働いて一定の年月が経つと、派遣先の責任者から直雇用への切り替えを打診されることがあります。

それまで派遣元である派遣会社の所属だったのが、直雇用になると派遣先の所属になります。

それだけ聞くとあまり変わっていないように思うかもしれませんが、所属が変わることで待遇をはじめとする様々な面で今までとは異なってきます。

僕も派遣社員から直雇用へ切り替わった経験がありますが、場合によっては切り替えない方がいいこともあると感じました。

本記事では、派遣先から直雇用を打診された人が注意しておくべきことを、僕の経験に基づき解説していきます。

直接雇用の打診をされても浮かれてはならない

派遣先から直接雇用の打診があったら注意したい4つのこと

直接雇用の打診を受けると、「自分は役に立つ人材と評価されているんだ!」と感じ、ついつい嬉しくなりますよね。

もちろん誰もが打診されるわけではないので、一定の評価をされていることは間違いありません。

ただ、直接雇用はその人の評価が高いという理由だけで打診されるものではないことを、しっかり認識しておくべきです。

そもそも派遣社員を使う企業は、決して安くない金額を派遣会社へ支払っています。

それでも派遣社員を使うのは、諸々の事務的なことや本人へのフォロー、何かあった際の責任を派遣会社が請け負ってくれるからです。

直接雇用にすることで、そうした諸々は派遣先の会社が担うことになりますが、その分派遣会社へ支払う金額は浮くので、コスト減へと繋がるわけです。

そして、打診を行う対象は『うち(派遣先の会社)の従業員にしても、問題ないレベルの人(余計な手間がからずリスクも少ない)』というのが基本。

つまり、就業先の会社にメリットがあるという前提の上で行われるものなので、ここを勘違いして浮かれてしまうと、後々思わぬ痛い目を見る可能性があるので注意しましょう。

派遣元も派遣先も信用しないようにするべき

派遣先から直接雇用の打診があったら注意したい4つのこと

直接雇用の打診は、基本的に派遣先が派遣元に伏せて直接、派遣社員に接触してきます。

理由は簡単で、派遣元を通して直接雇用を打診した場合、紹介料などの費用を派遣先が支払うことになるからです。

派遣先としてはそんなコストをかけたくないため、秘密裏に派遣社員へ打診して、1度派遣社員としては辞めてもらって(形式上)、改めて採用し今まで通り働いてもらう…という流れになります。

万が一派遣元にバレれば、倫理的にもその他の意味でも完全にアウトな大問題。

しかし、このように秘密裏に人材を囲う会社は、現実として多数存在しています。

派遣元が信用できないことは、派遣社員をやっていれば何となく分かると思いますが、こうやって平然とルール違反をする派遣先も信用するのは危険です。

派遣社員で居続けるべきか直接雇用に切り替えた方が良いかは、あくまで自分がどちらでいる方がメリットが多いのか?で判断すべきです。

直接雇用を打診されたら必ず確認するべきこと

派遣先から直接雇用の打診があったら注意したい4つのこと

直接雇用の打診があっても、その待遇は会社によって様々です。

切り替え契約を結ぶ前に、必ず以下の点は事前確認しておきましょう。

雇用形態(アルバイト・契約社員・正社員)

直接雇用に切り替える際、いきなり正社員になれるということはほぼありません。

大抵はアルバイト、もしくは契約社員という形で。そこからさらに経験年数を重ねると、正社員のポジションが見えてきます。

僕はこれまでに2度打診を受けた経験がありますが、1社目の時はアルバイトでしたし、2社目の時は契約社員でした。

正社員を目指している人は、雇用形態の詳細と正社員になれるまでの段階を聞いておくと良いでしょう。

給料・休暇

仕事をする上で優先順位がトップクラスにくる給料。

派遣社員の場合と直接雇用の場合で、どちらがより高額となるかは、しっかり確認しておきたい点です。

基本給(基本時給はもちろんですが、ボーナスの有無やインセンティブ、通勤交通費などあらゆる面で比較していきます。

ここでおさえておいてほしいのは、派遣先は派遣元がいくら基本給を出しているか、一切知らないということ。

そういった待遇について、派遣元と派遣先が情報の共有をすることはありません。

そのため派遣先は派遣元を超える金額を提示するとは限らず、低くなることも十分考えられます。

また、休暇制度も派遣社員の時と変わらないかも確認が必要です。

完全週休2日制だったのが、週休2日制(隔週で〇曜日は出勤あり等)になっていたりと、年間休日日数が変わるなどということがないかです。

直接雇用になったことで、会社のいいように使われることにならないか、ちゃんと見定めましょう。

業務内容(責任の範囲など)

基本的に直接雇用になったからといって、いきなり業務内容が変わることはありません。

ただ、管理業務をやらされたり、徐々に責任を負う範囲が広がっていったりと、後々負担が大きくなる可能性はあります。

派遣社員の時は限定的だったものが、直接雇用となったことで解除されてしまうというケースです。

最悪の場合、給料などの待遇は変わらないのに、そのような責任だけ増してしまうということも有り得ます。

そんな事態を回避できるように、業務内容がどうなるのか明確にしておきましょう。

今後のキャリアの転換点と考える

派遣先から直接雇用の打診があったら注意したい4つのこと

世間では派遣社員という立場を、「安定していない」とか「使い捨て」などと言って、良い雇用形態とは認識していません。

確かにそのような側面があるのは事実なので、完全な誤解や偏見とも言えないでしょう。

しかし、派遣社員として働く人達はそうしたリスクを認識した上で、自ら選択して働いています。

派遣社員という立場だからこそ享受できるメリットがあって、それが自分には合っていると思っていますし、僕もそんな1人でした。

ただ、それと同時にこのままずっと派遣社員として働くのも違うという気持ちも、多かれ少なかれあるはず。

なので、直接雇用の打診は今後の自分のキャリアにおける、1つの転換点と捉えることをおすすめします。

これまでを振り返り、その上で「これからどうしていくのが自分にとって最善なのか?」を、じっくり考えてみましょう。

それが人生における次のステップへ進むための、重要な選択になるはずです。

なかなか考えがまとまらない人は、キャリアのプロへ相談するのがおすすめです。

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