現代社会は誰もが慌ただしく日々を過ごしています。
その中で効率を求めて『時短テク』や『最短ルート』など、何もかも無駄なくやりたいという人も出てきました。
しかしあまりに効率を求めすぎると、思わぬ失敗をすることも多々あります。
本記事では、効率を求めすぎると人が失敗する理由と、効率を求めることをやめるために必要な思考について、順に解説していきます。
効率化とは何なのか
そもそも効率化とは、具体的に何を指すのか。
Welbio辞書で「効率」を調べると、以下の記述がされています。
1 機械などの、仕事量と消費されたエネルギーとの比率。「—のよい機械」「熱—」
Weblio辞書
2 使った労力に対する、得られた成果の割合。「—のよい投資」
要約すると、『いかに少ない力で迅速かつ大きな結果を得られるか』という意味のようです。
仕事もプライベートも、時間は無限にあるわけではありません。
そこで効率を良くしたいというのは、悪いことではないでしょう。
効率を求めすぎると失敗する理由
効率を求めること自体は、限られた時間の中であれば必要です。
しかしこれが行き過ぎると、以下の理由から失敗する可能性が非常に高いです。
世の中は効率だけで回っていない
自分が効率を求めていると、世の中に無駄がたくさんあるように思えて、イラつくことがあるかもしれません。
しかしそれは大きな勘違いで、実は世の中にある無駄はどれもが不要というわけではありません。
その無駄があるから安全性が保たれていたり、非常事態が発生した際に対処できるようになっていたりします。
効率を求めることは、成果とスピードを求められることでもあるので、そのプレッシャーが焦りやミスの隠蔽に繋がり、大きな事故になってしまうことは十分考えられます。
この点を理解していないと、自分の仕事に効率を求めた時に思わぬ事態を招いてしまうでしょう。
効率を求める人ほど能力が低い
「とにかく最短かつ最速で!」と効率を求める人はたくさんいますが、実は能力が低い人ほど効率を求める傾向にあります。
何故かというと優秀で能力が高い人は、効率だけでなく無駄も大切であると理解しているので、騒ぐことなく状況に応じて対応できるからです。
能力が低い人ほど、「システムに無駄が多いからどうにかしてほしい」とか、「こんなスクリプトじゃ良い結果が出せない」と言い訳しがち。
それで環境が効率化されても、自分の能力が低いためそれを使いこなせず、結局失敗してしまうのです。
効率化が非効率になることもある
自分が効率化できれば、みんなも効率化できて良いこととだと思っている人がいます。
しかし、何が効率的で何が非効率かは、人によって異なっている場合が多々あるもの。
例えば自分で「これで効率的になる」と考えて作ったシステムやツールが、他の人からすると使いにくかったりして、かえって工数が増えて非効率となってしまうことがあります。
その結果、無用な混乱を引き起こしてしまい、失敗を招きがちです。
効率を求めることをやめるために必要な思考
効率を求めるあまり、自分自身を苦しめたり、追い詰めてしまうことがあります。
では、これをやめるためには何が必要かというと、具体的には以下の3つの思考が有効です。
無駄の中にこそ発見がある
効率を求めていると、無駄と認識したものは見向きもせず放置してしまいます。
しかし、無駄だと思っていることをやってみると、思わぬ発見をすることがあります。
というより何が最も効率的かを知るには、無駄であることを行って失敗した時に学ぶことが多いものです。
無駄なことをしてこそ、そうしたことも分かるのだと思えば、無駄だって悪くありません。
効率より思いやりが大事なこともある
効率を求めていると、無駄を省くのに必死になります。
それが機械相手ならいいのですが、他人が関わってくるもの(顧客や同僚など)だと、問題が起こる可能性があります。
効率重視は時に、人間にとって大事な感情面を蔑ろにしてしまうからです。
人間は何もかもを効率だけ考えて行動しているわけではなく、寄り添いや共感などの感情を大切にする生き物です。
行動経済学という学問では、『人間の行動の非合理的な面』に注目したものとなっており、これがまさに該当すると言えるでしょう。
しかし見方を変えれば、たとえ無駄があったとしても、思いやりがあれば相手は満足してくれるということ。
効率は大事ですが、人と人のコミュニケーションに大事なものまで忘れてはいけません。
効率を求めてしまう原因を探る
何かと効率を求めてしまう人は、一種の強迫観念に囚われていることもあります。
それはもしかしたら、自分でも気付かない心の中に、それを生み出す原因(過去のトラウマなど)が眠っているのかもしれません。
そうだとすると、今後の人生でそれが思わぬ障害になる可能性もあるので、カウンセリングなどで向き合うのも1つの手段です。
カウンセリングというと病気の人が受けるものというイメージを持たれがちですが、アメリカでは誰もがちょっとした愚痴などを吐きたい時も受けるなど、実は非常に気軽なものです。
変に気構えず相談してみると良いでしょう。
効率と無駄のバランスを取ろう
効率を求めすぎても無駄がありすぎても、苦労することは多くなってしまいます。
難しいことではありますが、両者のバランスを考えていかに上手く取れるかが、人間には求められます。
仕事においてもプライベートにおいても、どちらかに極端になるのは自分のためにも誰かのためにもなりません。
この点を十分認識し、時には無駄にも目を向けてみることをおすすめします。