「今の職場に不満がある」「新しい環境で自分の能力を試してみたい」といったさまざまな理由から、転職をお考えの方もおられることでしょう。

転職を実現するにあたって必ず通らなければならない重要な関門が、面接です。面接では必ずと言ってよいほど、前社の退職理由を聞かれるものですが、それはなぜなのでしょうか。

この記事では面接で前社の退職理由を尋ねられる理由や質問の意図について特集しているので、ぜひご覧ください。

面接で前社の退職原因を聞かれる理由3つ

転職者に対して行われる面接では、「前社の退職理由を教えてください」といった質問がほぼ確実になされます。

それほどまでに企業が前社の退職理由を知りたがるのには、きちんとした理由があることをご存知でしたでしょうか。

転職の面接を制するためには、質問の意図を正しく理解しておくことが必要です。ここからは前社の退職理由を聞かれる理由について解説していきますので、ぜひご覧ください。

前社の退職原因を聞かれる理由1:応募者の人物像の確立

前社の退職理由を聞かれる理由としてまず知っておきたいのが、応募者の人となりを見極めたいからということです。

「キャリアアップをしたいから」「新しい環境で自分の能力を磨きたいから」といった前向きな理由で前社を退社したのならば、その人物は仕事に対してポジティブであることがうかがえるでしょう。

反対に、前社への不満ばかりを理由にする人は他罰志向が強く、採用すると職場で面倒を起こす可能性があります。

前社の退職原因を聞かれる理由2:モチベーションの確認

仕事に対してどの程度のモチベーションがあるかを確認したいというのも、転職の面接で前社の退職理由を尋ねられる理由として挙げられるでしょう。

「培った経験を新しい職場で活かしたい」といった前向きな回答をした候補者ならば、仕事に対するモチベーションが高く採用に値する人物と判断されるはずです。

反対に、前社への不満から退社した場合は自社に入社したいという積極的な意欲が感じられないと判断されるでしょう。

前社の退職原因を聞かれる理由3:前社と同じ理由で退職しないか

前社の退職原因を聞かれる理由のひとつとして、前社と同じような理由で退職してしまわないかを確認したいということも含まれます。

採用した人物に退社されると採用にかかった時間とコストが無駄になってしまうので、前社への不満などネガティブな理由で退社した候補者は、採用しても同じような不満を抱き早々に退社してしまうと企業側は判断するでしょう。

退社のリスクが少なく職場に定着してくれる人材を見極めようとしています。

前社の退職理由を考える際のポイント2つ

以上で見てきたように、前社の退職理由をどのように答えるかによって面接官の心証は大きく変化します。

それまで順調に与えられた質問に回答できていたとしても、前社の退職理由の説明が上手くいかなければ、面接の勝算が少なくなってしまいかねません。

面接に受かる確率を上げるために、ここからは前社の退職理由について考えるポイントを解説していきます。

前社の退職理由の考慮ポイント1:ポジティブな内容を心がける

前社の退職理由を考える際のポイントとしてまずご紹介したいのが、できるだけポジティブな内容にするということです。

もちろん嘘の退職理由を告げるのはNGですが、だからと言ってネガティブなものをそのままストレートに伝える必要はなく、できる限りポジティブに言い換えるようにしてみてください。

職場の労働環境に不満があったのならば、「ワークライフバランスを充実させたかったから」と前向きに語るのがおすすめです。

前社の退職理由の考慮ポイント2:入社したいという意欲につなげる

入社したいという意欲につなげる形で前社の退職理由を考えるというのも、ポイントのひとつです。

たとえば「前社で得たスキルをより一層活かせる職場で働きたいと思った」と前社の退職理由を説明した上で、「御社はこのようなスキルが求められる○○の分野で業界をリードしているため、ぜひ入社したいと考えている」といった形でアピールしてみてはいかがでしょうか。

前社の転職理由をまとめる手順5つ

面接官は、応募者の退職理由や転職理由のエピソードから、応募者の人物像や採用した場合のリスク・メリットなどを総合的に判断しています。

だからこそ、面接時に転職理由を聞かれることを想定したうえで、自分なりにベストの回答を用意して面接に臨むことが大切だと言えるでしょう。

ここからは前社の退職理由を綺麗にまとめるための方法や手順について解説していきますので、ぜひ参考になさってみてください。

転職理由のまとめ方手順1:転職したい理由の洗い直し

前社の退職理由のまとめ方としてまずおすすめしたいのが、そもそもなぜ転職したいと思ったのか、その理由を洗い直してみるということです。

転職の理由や動機が曖昧であるならば、面接官に「入社したいというモチベーションが感じられない」と判断されかねません。

逆に言えば、転職理由がクリアでポジティブであればモチベーションが高い応募者と評価される可能性が高いでしょう。

転職理由のまとめ方手順2:言語化する

転職理由を明確にすることができたのならば、次に踏むべきステップはそれを言語化するという作業です。

どんなに立派な転職理由があったとしても、それを面接官にきちんと伝えるためにはわかりやすい言葉で説明することが欠かせません。

まずは要点を箇条書きにした上で、必要なエッセンスだけをピックアップし、それらをつなぐようにして文章を作っていきましょう。

転職理由のまとめ方手順3:転職理由をポジティブな内容に変換

転職理由のまとめ方や手順の3つ目として挙げられるのが、転職理由を少しでもポジティブな内容に言い換えるということです。

前社では昇給や出世の可能性が見込めず、それが不満で退職をしたのならば、不満に感じているところは全て削除し、「キャリアアップを実現したかったから」「自分の能力を十分に活かせる環境で働きたかったから」とポジティブに変換してみてください。

転職理由のまとめ方手順4:転職後に「どのようになりたいか」を考える

転職理由をポジティブに言い換えたのならば、次にすべきは転職をしてどのようになりたいのかをじっくりと考えてみましょう。

面接官の目に留まる応募者になるためには、入社後のビジョンが明確であり、やりたいことややるべきことをきちんと把握していることが必要だからです。

どのようなキャリアをどのようにして実現したいのか、そのためにはどのようなことが必要なのかを冷静に考えてみてください。

転職理由のまとめ方手順5:退職理由と志望理由をつなげる

転職理由をまとめるにあたっては、退職理由と志望理由をつなげることも大切です。

たとえば「前社で○○の仕事に携わったことでその分野で働きたいと考え、退職を決意した」と説明した上で、「御社では○○の分野が盛んなので、入社できたらこれまで培った経験やスキルを活かしてその仕事に取り組みたい」といったように、志望理由に退職理由をつなげましょう。

前社の退職理由を考える際の注意点2つ

以上では前社の退職理由を考えるさいに実践すべきポイントを解説してきました。では逆に、どのようなことをしないように気をつければよいのでしょうか。

ここからは、退職理由を考えるにあたって気をつけるべき点をご紹介していきます。

退職理由を考える際の注意点:決してネガティブな理由にならないように

何よりもまず気をつけるべきは、退職理由がネガティブな理由にならないようにするということです。

前社への不満をグチグチと退職理由として語ってしまえば、ほぼ間違いなく面接官の心証を損ねてしまうでしょう。

たとえ優秀な人物であっても、また立派な経歴やスキルを持っていたとしても、それが原因で面接を落とされてしまうことさえあります。

退職理由を考える際の注意点:情報漏洩に気を付ける

情報漏洩をしないようにするというのも、退職理由を考えるにあたって注意すべきポイントのひとつです。

前社の退職理由として、業務上知り得た情報を交えながらペラペラと説明してしまうと、面接官に「コンプライアンス意識が希薄だ」「口が軽くて信用できない」とマイナスの印象を持たれてしまいます。

面接で前社の退職理由にスムーズに対応する

今回は前社の退職理由を面接時に聞かれる理由やその意図について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

転職の面接では必ずと言ってよいほど、転職理由と前社の退職理由はセットで聞かれるものですので、事前にそれを想定してベストな回答ができるように準備しておきましょう。