「現代はVUCA社会だ」という言葉は聞いたことがあるが、意味は分からないという人は多いでしょう。

VUCAとはもともと1990年代にアメリカの軍事領域で用いられてきた言葉で、「予測不能な状態」を意味します。この記事ではVUCAの詳しい意味とVUCA時代で成功する人の特徴をご紹介します。

VUCAとは?

世界の経済界で頻繁に使われるようになったきっかけは、2014年のASTD国際大会です。「チェンジ(変化)」にフォーカスが当たったこの年、VUCAは多くのセッションで登場し、注目を浴びました。

4つの単語から頭文字を取って作られた単語

このVUCAという言葉は「Volatility」「Uncertainty」「Complexity」「Ambiguity」の4つの単語のそれぞれの頭文字を取って作られた単語です。

ありとあらゆるものを取り巻く環境が複雑性を増し、想定外の事象が次々と発生することから、将来の予測が困難な状態を指す言葉です。現在は5~10年前と比べて、明らかにVUCAの度合いが加速しているといえます。

Volatility

「Volatility」とは変動性を意味しています。

テクノロジーの進歩によって、現代のビジネスは急激な変化を遂げています。個人の趣味や趣向はどんどん多様化する一方で、それに合わせて市場がどんどん細分化されつつあります。

その結果、世の中の仕組みやルールも目まぐるしく変化するようになり、先行きが見通せなくなってきています。

Uncertainty

「Uncertainty」とは不確実性のことを指しています。

現代を取り巻く状況はカオスが深まっています。政治や経済、市場を取り巻く環境はグローバル化が進み、一方、世界中で政治上のドラスティックな変化や大規模な気候の変化が発生しています。

これから突然新たな競合が生まれたり、競合が参入してくることもあれば、大規模な自然災害が襲ってくる可能性もあり、これらに応じて都度仕事の仕方を変える必要があります。

Complexity

「Complexity」とは複雑性を意味しています。

2008年のリーマンショックによる超円高は輸出大国の日本に大きな打撃を与えました。大手企業が拠点を海外に移し、大手の仕事を請けていた中小企業が相次いで倒産しました。世界のどこかで起こったことが、自分の国や会社に大きな影響を与える時代です。

また、日本では民泊やUberなどの新しいサービスが普及していません。これは、法整備が追い付いていないためです。

Ambiguity

「Ambiguity」とは曖昧性を意味します。

ITの進化で、業界の区分が曖昧になっています。自動車の自動運転技術は以前なら自動車メーカーだけが研究をしていましたが、現在はGoogleなどが参入して研究開発を進めることで実用化に迫っています。

業界を超えた競争が活発になり、より多くのイノベーションが生まれるでしょう。しかし、どんなイノベーションが生まれ、社会や経済に影響をもたらすかは予想が難しいです。

VUCA時代で成功する人の特徴7つ

VUCAについてご紹介してきましたが、ただひたすら予測不可能なこの時代について、ただただ不安ばかりが募る人も多いでしょう。この予測不可能なVUCA時代では、どのような人材が成功し活躍できるのでしょうか。

VUCAの時代を生き抜くことのできる人には、日頃から発揮している特徴が主に7つあります。

その特徴は成功できる人には、明確なビジョンがある、知的好奇心が高いなどです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

VUCA時代で成功する人の特徴1:明確なビジョンがあり行動できる

少数ですが、キャリアの早い段階で自分が将来どうなりたいか明確になっている人がいます。自分のなりたい姿が明確だと、今の業務の延長線上に将来なりたい像を見るので、1つ1つの仕事に意味づけをすることができ、主体的に取り組めます。

VUCAの時代であっても、仕事における基準がきちんとあるので取捨選択ができます。キャリアの早い段階で、自分にとっての幸せが何なのかじっくりと考えていきましょう。

VUCA時代で成功する人の特徴2:知的好奇心が高い

未知のものが現れたとき、人の反応は「怖いからとりあえず避けよう」と「興味を持ってやってみよう」の2つに分かれます。VUCA時代で成功できる人は、後者の知らないことに対して興味を持つことのできる人です。

また未知の仕事に対して興味を持てる人は、新しいことに常にアンテナを張っているので周囲が知る前に最新の情報を取得できます。世間で流行りだす頃には既に使いこなせるので市場価値も必然的に高くなります。

VUCA時代で成功する人の特徴3:視野が広い

VUCA時代を勝ち抜くには、視野の広さも必要です。予測不可能な経済状況においては、全体最適を考える広い視野と、未来を見据えて方向性を決める高い視座が重要です。

また、多様なバックグラウンドを持つメンバーの個性を尊重しながら巻き込み、ポジティブな反応を示すなどの雰囲気作りを行うことで、メンバーからさまざまなアイディアを出してもらえます。この支援によって、組織がどんどん活性化されていきます。

VUCA時代で成功する人の特徴4:やり抜く力が強い

VUCAの時代で成功できる人は、仕事へのコミットメントも強く、最後までやり抜こうとする力が強いです。任せられた仕事でも自分からチャンスを掴んだ仕事でも、最後までやりきるという強い意思を持ちましょう。

どんなに小さい仕事でも構わないので、初めから終わりまでをやりきることで実績を積んでいくことが重要です。自分が優位に進められる土俵をキャリアの早い段階で見つけて、自発的にスキルや経験を積んでいきましょう。

VUCA時代で成功する人の特徴5:上手に周囲を巻き込んで成果を出す

VUCA時代に成功できる人は自分だけで仕事をせず周囲を上手に巻き込んで成果を出すことができます。

ビジョンが明確な人は、自分がしたいことの話をしているとき目が輝いて見え、話を聞いた人は一緒に仕事をしたいと思うようになります。話す際はやりたいことを伝えるだけではなく、相手が何に興味があるのかも意識して話しましょう。

プロ意識が高く、自分のビジョンと相手のビジョンが重なる部分がある人を巻き込むとよいです。

VUCA時代で成功する人の特徴6:自分の得意分野にいる

VUCAの時代にリーダーになれる人は、好きなことを仕事にしている、もしくは自分の得意な分野で勝負している人です。

好きなこと見つけて熱中することで、圧倒的な結果を出し、結果としてリーダーになることができます。熱中できるようなものが見つからず「今のままでいいのだろうか」と考えている場合には闘う場所を変えることも選択肢の1つです。

不安に思うこともあるでしょうが、得意分野の見つかる人生に繋がっていきます。

VUCA時代で成功する人の特徴7:常にアウトプットを意識している

VUCA時代では常に学び続ける必要があります。重要なのは単にインプットだけでは効果が薄く、常にアウトプットを意識してインプットを行う必要があります。

やりたいことを決めて実際に手を動かしている中で、興味が湧いたことがあれば都度調べてどんどんアウトプットし、自分のものにしていきましょう。

Googleでは自発的に学び続ける人をラーニングアニマルと呼び、成果を出せる人として重要な採用基準になっています。

VUCA時代で成功する方法3つ

VUCA時代に成功する人に特徴についてご紹介してきました。それでは、このような特徴を持って成功する人材になるためには、どのようなことをすればよいのでしょうか。

VUCA時代に成功するための方法として、心理学や哲学について学ぶ、学んで行動することを習慣づける、精神性を高く保つの3点をご紹介します。

VUCA時代で成功する方法1:心理学や哲学について学ぶ

VUCA時代に成功するためには、まず心理学や哲学、文学など人の心の動きを知ることのできる学問を学んでおくといいでしょう。成功するためには、周囲の人がどういうことに興味を持つのかなども理解しておく必要があります。

また、対話する相手が必ずしも日本語を話せるとは限りません。語学のスキルアップにも努め、意見を述べつつ相手を尊重する対話力を身につけられるとさらに良いです。

VUCA時代で成功する方法2:学んで行動することを習慣づける

VUCA時代に成功するためには、常に知的好奇心を高く持つことが重要です。その好奇心を満たすためにも情報収集をしっかり行い、手に入れた情報を自分でも積極的に試すなど、学んで行動することを習慣づけましょう。

そうすることで視野も広くなり、幅広い分野の経験値が蓄積されていきます。自分の軸となる得意分野を持ちながら、他の分野にも精通しているとさらに良いです。

VUCA時代で成功する方法3:精神性を高く持つ

常に精神性を高く持ち、人に不快感を与える可能性のある言動は控えるようにすることもVUCA時代のリーダーには重要です。

人との向き合い方にもしっかりと気を付け、誰にでも平等に接することができるようにもしましょう。賛否両論ありそうな言動は謹んでおけるとさらに良いです。

VUCA時代で成功する人材になろう

VUCAの意味やVUCA時代に成功する人の特徴などについてご紹介してきました。

これからは、時代の変化に常に怯えながら過ごす人と、時代の波を利用して自分らしく生きていける人に大きく二極化が進んでいくと考えられています。

先行きの見えない時代ですが、早くから取り組めば取り組むほど、納得のいく人生を送ることができます。成功する人材になるためにも、まずは自分が何がしたいのかを明確にすることから始めましょう。