この記事を読んで分かること

・ブラック企業とは何か
・ブラック企業の特徴
・ブラック企業に入ってしまった場合、どうすればいいのか

『ブラック企業』というワードが、当たり前に認知されるようになった昨今。

令和となった現代でも、そうした企業は数多く存在しています。

そんな中で、いま自分が勤めている企業は、どうなのか。

気になっている方は多いのではないでしょうか。

この記事は、そんな方の疑問と悩みについて、解説していきます。

この記事の筆者
・産業カウンセラー資格保有
・人材系のブラック企業での就業経験あり

ブラック企業とは

そもそもブラック企業とは何でしょうか。

実は2022年5月時点で、明確な定義はされていません。

しかし厚生労働省では、以下のような企業が該当すると記しています。

① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う

このうち、いずれか1つでも当てはまるようなことがあれば、そこはブラック企業かもしれないのです。

ブラック企業の特徴

ブラック企業によくみられる特徴は、大から小まで全て挙げるとキリがありません。

しかし、代表的なものとして、以下の特徴が見られます。

新入社員研修は軍隊形式

ブラック企業における新入社員研修は、ある種の『洗脳』の場です。

ここで行われることは、

・あらゆる言葉を大声で出す
・常に団体行動・基本行動訓練
・何かやらかすと連帯責任で懲罰

というように、まるで軍隊のようなことです。

これらをさせることで、「なぜそれをやる必要があるのか?」を考えない、会社に従順な社員を作り出します。

事実、筆者の知り合いがかつて勤めていた会社では、「頭が良い人材はいらない。何も考えずやってくれるバカな人材が欲しい。」と上司が口にしていたそうです。

始業時刻の1時間以上前から社員が出勤する

ブラック企業は、始業時刻ギリギリに出社してくる人間を許しません。

1時間以上前に出社して、仕事を開始するのが普通です。

特に若手が先輩や上司より1分でも遅く出社したら、もう大変なことです。

「朝は誰よりも早く、夜は誰よりも遅く」が、ブラック企業の社員なのです。

朝礼で社訓を大声で唱えさせられる

ブラック企業では、朝礼で社訓を大声で詠唱します。

そしてこの社訓は、以下のようなものであることがほとんどです。

・お客様の幸せが会社の幸せ
・会社の成長が自らの成長に繋がる
・我々は家族
・あらゆる可能性に挑戦する
・常に進歩し続けよう

聞くだけでむずがゆくなりそうですが、これを大の大人が大声で読み上げる姿はなかなかです。

朝礼でラジオ体操をしている

朝礼で毎回ラジオ体操をやらせるのは、大抵ブラック企業です。

「1日の始まりを元気に健康に」と銘いうことで、全力でやらなければなりません。

少しでも手を抜いていると、上司から激しく罵倒されます。

毎日やるので、そのうちラジオ体操の音楽がトラウマになっていきます。

1分間スピーチがある

朝礼の最後に、当番制の1分間(企業によって分数は変わる)スピーチを社員にさせます。

当番制とはなっていますが、基本的にやるのは若手のみで、中堅以上は何もしません。

また、特にテーマは決められていませんが、必ずやらなければなりません。

ここでのスピーチが上手いか下手かで、中堅以上からの話術の評価が左右されます。

年功序列が存在する

年功序列は現代ではとっくに廃れた制度です。

しかしブラック企業では、変わることなく健在となっています。

そのためロクに仕事ができないおじさん社員が、我が物顔で偉そうにふんぞり返っています。

年下の上司も強くモノを言うことが出来ず、野放しとなっている光景が散見されます。

新人にあらゆる雑務を押し付けている

ブラック企業では、新人がひたすら雑務をこなします。

部署内の掃除・ゴミ出し・お茶(コーヒー)出し・コピー機の紙補充その他諸々・・・

誰かがやればいいことを、新人がやっていないと死ぬほど怒鳴られます。

大抵はそれを目ざとく(しつこく)チェックする先輩がいて、その人に発見されたらもう大変です。

上司に詰められるだけの会議がある

ブラック企業で行われる会議には、生産性は全くありません。

名目は「成績報告会」などですが、その実態は成績に対し上司が部下をひたすら罵倒し、怒鳴るだけのものです。

それが毎週、下手をすると1日1度は実施されます。

最早仕事ではなく、ただのイジメのようなことが平然と起きているのです。

上司の人格が破綻している

ブラック企業にいる上司は、例外なくクレイジーです。

理不尽・不条理・無神経と3拍子揃った人物で、数々の社員を退職に追い込んでいます。

彼等にとって、会社は何よりも守るべき存在であり、部下を人間と思っていません。

普通であれば有り得ない命令も、彼等にとっては普通なのです。

昼休憩が取れない

ブラック企業にランチタイムは存在しません。

食事の摂り方は、仕事をする片手間でおにぎりを口に押し込むのが当たり前です。

特に若手社員はその状態が普通になるので、食事をまともに摂れることはほぼないでしょう。

「契約が取れるまで帰ってくるな」と言われる

営業などで外回りがある仕事だと、ブラック企業では「契約が取れるまで帰って来るな」と上司から平然と言われます。

永遠と外回りしていなければならず、実際に夜通し仕事をしていた社員を知っています。

労働基準法も何もかも無視した働き方が、当たり前のように命令されるのです。

契約が取れないで帰社するとボコボコにされる

どうしても契約が取れない日というのは、誰にでもあるもの。

しかしブラック企業では、そんな事情は理解されません。

そんなことがあろうものなら、上司が文字通り殴る蹴るの暴行をしてきます。

パワハラどころか犯罪の域ですが、現実に行われている企業が存在するのです。

会社に泊まる社員がいる

ブラック企業は、「定時終わりからが勝負」が当たり前の世界です。

終電で帰れたら御の字で、会社に泊まる社員がいるのは日常茶飯事。

中には、いつ泊まれてもいいように、お泊まりセットを自前で完備している社員がいたりします。

「俺、もう○泊目だわ~」なんて会話が、オフィスで普通に繰り広げられます。

飲み会が頻繁に開催される

ブラック企業は、事あるごとに飲み会が開催されます。

当然全て強制参加で、やることは上司へのお酌と自慢話と説教への対応です。

典型的なのは、

・1杯目は必ず全員がビールを注文され飲むことになる
・若手は各上司の席へ回らなければならない
・最後に一本締めがある
・二次会はカラオケ(もちろん強制参加)

というパターンです。

もし不参加ともなれば、翌日先輩から激しく叱責されます。
※その前に先輩は上司から怒鳴られているという背景があります。

ハラスメントが横行している

ブラック企業では、あらゆるハラスメントが日常茶飯事にされています。

パワハラ・セクハラ・モラハラ・マタハラ…

最早風景の一部のようになっていて、それがハラスメントなのかも判断がつかないくらいにマヒしてきます。

それで退職した社員がいると、「あいつは根性がなかった」などとバカにする風潮があるまでが1セットです。

「退職する場合は3か月前に申告が必要」という就業規則がある

法律上、社員が退職をしたい場合、その2週間前に申し出ればよいとされています。

しかしブラック企業は、就業規則に3か月前に申し出なければならないと記載していることがスタンダードです。

これは業務の引き継ぎのためではなく、何とか退職を阻止(引き留める)するために、この長い期間を設けているのです。

本来は就業規則より法律の適用が優先されるため、3か月前の申し出は強制できません。

ブラック企業はそれを平気で踏みにじります。

薄給・長時間労働

ブラック企業では、給料の低さと長時間労働が標準装備されています。

朝から晩までどころか、夜通し徹夜で仕事をするのもいつも通りの世界です。

そうして正常な判断能力を奪いつつ、飼い殺しにするのがブラック企業がブラックたる所以です。

ブラック企業に勤めてしまったら

もし今、自分の勤めている会社が、明らかにブラック企業であるならば。

最善策は、可能な限り早急に辞めることです。

ブラック企業は、自分がどんなに努力しても永遠に楽になることはありません。

いればいるほど心身の消耗は激しくなり、限界を迎える時が訪れます。

在職中の転職活動も、今の状態では冷静に進めることはかなり難しいと思うので、まずは辞めることに専念することをおすすめします。

生活費は短期バイトや派遣でいくらでも何とかなるので、まずはブラック企業から抜け出すべきです。

退職を申し出ても辞めさせてくれない、もしくは言いづらいなどがある場合は、退職代行サービスを活用しましょう。

余計なエネルギーを消費せず、安全にブラック企業を辞めることができます。

世の中に会社はたくさんある

「今いるブラック企業を辞めても、次に行ける場所がない」と考え、ずっと働き続けている方は少なくありません。

しかし、だからといって今の状態を続けるのは、心身を確実に消耗してしまい取り返しのつかない状態になります。

世の中に会社はたくさんあって、今辞めたとしても必ず次の仕事は見つかります。

僕自身、8か月で仕事を辞めた経験がありますが、その後ちゃんと次の仕事が見つかり問題なく過ごせています。

どうか自分を大切に考え、今取れる最善策を取ってください。