どの会社にも1人はいるであろう社内ニート。

ほとんど仕事をせず給料をもらえるという点から、『社内ニート最強説』や『社内ニート勝ち組』などと言われ羨ましいと思っている方もいます。

しかし、実際のところそれは本当なのか。

僕は以前、社内ニートとして過ごした経験も、早朝から深夜まで忙しく働いた経験もあります。

この記事では、その経験から社内ニートが羨ましい存在であるのか、実態も踏まえて説明します。

 

社内ニートとは?

そもそも社内ニートという言葉は、以前はありませんでした。

昔であれば『窓際族』というものがありましたが、社内ニートはこれとは少々指している対象が異なります。

窓際族は中高年以上の、仕事ができず会社から見放された、いわゆる『無能な人材』が窓際のデスクに追いやられた状態です。

これに対し、社内ニートは中高年より若手が主になりがちで、簡単な仕事だけしか行わず(振られず)1日の大半を何もせずに過ごす状態です。

両者に共通するのは『会社がクビにしたくてもできない』という点で、日本の労働関係の法律でいかに強く守られているかが分かりますね。

一生懸命仕事をしている人からすると、「何もしていないのに自分と同じように給料をもらってノウノウと生きている」と、モチベーションの減失に繋がる要因にもなります。

 

社内ニートは人によって向き・不向きが別れる

このポジションを羨ましいと感じる人も多いですが、実は社内ニートにも向き・不向きがあります。

僕以外の社内ニートも何人かいたのですが、すぐに辞めてしまう人もいれば、ずっと残って謳歌している人もいました。

次項では、その詳細について解説します。

 

社内ニートに向いている人

社内ニートでいることに苦痛を感じず残れるのは、以下の気質がある人です。

・暇であることが辛くない
・自分だけの世界に入り込める
・空気が読めない
・社内ニートだと自覚していない
・楽して稼げれば良いと思っている
・他にしたいこと(夢・目標)がある

基本的に社内ニートには、周囲の空気を読まず我が道を行くことが求められます。

「こんなにラクなのに、お金もらえるって凄いなぁ」という発想ができるタイプは、社内ニートの才能があると言えるでしょう。

周囲の社内ニートへの風当たりは、強くて当たり前です。

これに気付かない(もしくは何も感じない)状態が維持できれば、怖いものはありません。

また、社内ニートのポジションを活用して、社外活動(副業や資格勉強)に精を出す人もいます。

もちろん褒められる行為ではありませんが、このタイプだと社内ニートはむしろありがたい状況ですね。

 

社内ニートに向いていない人

社内ニートでいることが向いていないのは、以下の気質を持つ人です。

・暇でいることが苦痛
・周囲の空気に敏感
・気遣いができる
・上昇志向がある
・自分に自信がない

周囲を見ればみんなが明らかに自分と違う業務を行い、忙しなく働いているのが分かるので、これに敏感で罪悪感を抱くタイプには耐えられません。

また、「忙しい方が安心できる」というタイプも、社内ニートの状態だと終始不安しか感じられず、自分で見切りをつけて辞めていきます。

社内ニートでいる限り仕事でのスキルアップは望めないので、現状維持や衰退に恐怖心や危機感を持つ人は、直ちに辞めるべきでしょう。

 

社内ニートの1日

社内ニートの1日の過ごし方は、周囲の環境によって異なります。

例えば僕の場合はテレワークだったので、割かし何でもできる状態でした。

その際のスケジュールは、ザっとこんな感じです。

9:00~10:30 仕事
10:30~12:00 ニュースサイトやまとめサイトの閲覧
12:00~13:00 昼休憩
13:00~14:00 仕事
14:00~16:00 読書・資格勉強
16:00~17:30 副業
17:30~18:00 退勤準備
18:00 退勤

昼休憩を除いた8時間のうち、実質ちゃんと仕事しているのは2~3時間で、あとは好きに過ごしていました。

より強い社内ニートは、仕事をしている時間はより短くなるでしょう。

また、出社形態の社内ニートの場合、周囲の目があるため、ここまで自由にできないことも多いです。

 

社内ニートになる方法

誤解しないように注意してほしいのは、社内ニートは自分が望んでなれるものではないということ。

会社に所属している以上は、給料に見合った働きをするのが最低限の義務であり、していないのは本来有り得ないことです。

ただ、本人もしくは会社が原因で、社内ニートが生まれてしまうというのが実情です。

少なくとも僕自身と僕が見てきた社内ニートは、自らそうなることを狙っていたわけではありません。

そのため、意図的に社内ニートになるのは、なかなか難しいと思います。

もしなれる可能性を高めたいなら、以下の点を狙うことです。

・小さなミスをたびたびする
・暇そうな部署に異動願を出す
・周囲から「真面目な人」や「サボらない人」と信頼される

 

小さなミスをたびたびする

社内ニートは仕事ができないので、任されることが簡単(誰でもできる単純作業など)となりがちです。

そうなるには、致命的ではないけど少々困るミスをわざとして、「こいつに頼むのは危険」というイメージを植え付ける必要があります。

 

暇そうな部署に異動願を出す

業務自体が少ない部署では、既存のメンバーだけで1日かけず全ての仕事が終わります。

にも関わらず、会社の人事の関係で、さらにメンバーを増やしてしまうことも。

そうしてより1人あたりの業務が少なくなり、社内ニート化が進むのです。

なので、もし客観的に見て明らかに暇そうな部署があれば、異動願を出してみるのもいいでしょう。

 

周囲から「真面目な人」や「サボらない人」と信頼される

社内ニートは、上司や偉い人に「ロクに仕事をせずサボっている」とバレると、非常にマズいことになることも。

クビにこそなりませんが、その際のサボり方によっては、何らかのペナルティを受ける可能性もあります。

これを防ぐには、まずある程度の信頼を得ておいて、ほとんどチェックされない状態にしておく必要があります。

すなわち、『監視していなくても問題ない人』という評価を受けておけば、注目されることを避けられるのです。

そのため、社内ニートになりたければ、まずは真面目に仕事をしておくことをおすすめします。

そして社内ニートになれそうなチャンスが巡ってきたら、逃すことなく飛びつきましょう。

 

いつまでも社内ニートではいられない!社内ニートが直面する5つの限界

社内ニートをする上であらかじめ知っておきたいのは、いつまでも社内ニートでいることはできないということです。

人事異動はもちろん、その他様々な理由で、今のポジションを失い社内ニートの生活が終わる日は必ず来ます。その時にだらけた状態のままの自分だと、新天地で苦戦する可能性は非常に高いです。

そうならないために、たとえ社内ニートになったとしても、何らかを学び勉強することは続けておくべきです。社内ニートには時間がたんまりあるので、やろうと思えばほとんどのことはやれてしまいます。

100%自堕落なままでいることは、リスクもあると覚えておきましょう。

1. 周囲からの冷たい視線という精神的な拷問

社内ニートが最初に直面するのは、同僚たちからの容赦ない視線です。忙しく働く同僚たちの中で、明らかに何もしていない自分は非常に目立ちます。

朝のオフィスで、みんなが慌ただしく業務の準備をしている中、することがない自分はパソコンの前でただ座っているだけ。周りの人たちが電話で顧客対応をしたり、会議の準備をしたりしている中、自分だけがネットサーフィンをしている罪悪感は想像以上に重いものです。

特に辛いのは、同僚が残業で疲れ切っている時です。「あの人は定時で帰れていいよね」という陰口や、露骨に避けられる経験をすると、職場にいること自体が苦痛になってきます。人間は社会的な動物ですから、集団から孤立することは本能的に恐怖を感じるのです。

2. 自己価値の急速な低下と自信の喪失

社内ニートとして過ごしていると、自分の存在価値について深刻に悩むようになります。「自分は会社に何の貢献もしていない」「こんな自分に給料を払う意味があるのか」といった思いが、日に日に強くなってきます。

人間は本来、何かを達成したり、誰かの役に立ったりすることで自己価値を感じる生き物です。しかし、社内ニートはその機会が極端に少ないため、自信を失い、自己否定感に苛まれるようになります。

最初は「ラッキー」と思っていても、数ヶ月もすると「自分は本当に役立たずなんだ」という思いが心を支配するようになります。この状態が続くと、うつ病などの精神的な病気を発症するリスクも高まります。

3. スキルの急速な劣化と市場価値の暴落

社内ニートの最も恐ろしい側面は、働く能力が急速に衰えていくことです。仕事をしなければスキルは身につかないし、既に持っているスキルも使わなければ錆びついてしまいます。

技術職であれば最新の技術についていけなくなりますし、営業職であればコミュニケーション能力が鈍ってしまいます。事務職でも、効率的な業務処理能力や正確性が失われていきます。

特に恐ろしいのは、この劣化に本人が気づかないことです。毎日何もしていないのが当たり前になってしまうと、「普通に働く」ことがどれだけ大変なことか忘れてしまいます。そして、いざ転職しようと思った時に、自分の市場価値が著しく低下していることに愕然とするのです。

4. 時間の有効活用ができない現実

「時間がたくさんあるから勉強でもしよう」と最初は思うものですが、実際にはそう簡単ではありません。会社にいる以上は監視されているため、露骨に勉強や副業をするわけにはいきません。

また、やることがない状態が続くと、集中力や学習能力も低下してしまいます。「今日は何もすることがない」という状況が毎日続くと、脳が怠け癖に慣れてしまい、積極的に何かを学ぼうという意欲も失われていきます。

結局、ネットサーフィンやSNSの閲覧、ゲームなどの時間つぶしに終始してしまい、貴重な時間を無駄に過ごすことになります。「時間があれば何でもできる」というのは幻想で、実際には時間があり過ぎることも問題なのです。

5. 将来への不安と絶望感の拡大

社内ニートとして過ごしていると、将来に対する不安が日々大きくなっていきます。「この状態がいつまで続くのか」「いつかクビになるのではないか」「転職できるスキルがない自分はどうなるのか」といった不安が頭から離れません。

特に恐ろしいのは、年齢を重ねるごとにこの不安が現実味を帯びてくることです。20代であればまだやり直しが利きますが、30代、40代になってスキルのない社内ニートでは、転職は非常に困難になります。

この絶望感は、精神的な健康に深刻な影響を与えます。夜眠れなくなったり、食欲がなくなったり、何事にもやる気が起きなくなったりします。そして、この状態から抜け出すエネルギーすらなくなってしまうのです。

 

社内ニートになりたい人は今の仕事が辛い人

もし今、あなたが社内ニートになりたいと思っているのであれば、それは恐らく今の仕事が辛いと思っているからではないでしょうか。

『隣の芝生は青く見える』と言われるように、何かになりたい人間は、今の自分が持っていないものを持っていそうだから羨みます。

社内ニートになりたい人は、社内ニートが持っている『時間・ラク』に、憧れている場合が多いのです。

ただ、社内ニートは決して羨ましくも、憧れを抱かれる存在でもありません。

既に説明した通り、リスクもありますし、いつまでもそのままでいることもできません。

そのため、別の方法で解決を目指すことを、強くおすすめします。

 

自分に合った働き方を見つけよう

今の仕事が辛い場合、その原因は様々です。

・業務がつまらなくやりがいを感じない
・拘束時間が長く残業も多い
・人間関係が悪い
・パワハラやセクハラが横行している

いずれにしても、そんな状態にあって苦しんでいるのであれば、我慢せずそこから抜け出すために行動することが必要です。

我慢して苦痛を長期間感じていると、そのうち何も考えられなくなってきてしまいます。

自分に合った仕事・職場・働き方は必ずあるので、自分はダメなどと思うことはありません。

『キャリアアップコーチング』では、仕事や働き方などキャリアに悩む人のサポートを行っているので、利用してみると良いでしょう。

 

社内ニートが迎える3つの悲惨な末路

僕自身の経験から言えるのは、社内ニートも良いことばかりではないということです。

暇も時間もありますし、大したこともせず給料はもらえますが、そのうち「自分は何のためにここにいるんだろう?」とも思うようになりました。人間は面倒くさくて、適度な自分の役割がないと、存在意義を見出せなくなるのです。

どれだけ羨ましく見えても、自分が実際にその立場になってみたら、思っていたものと違ったということは往々にしてあります。

1. 突然のリストラで路頭に迷う

社内ニートが最も恐れるべきなのは、突然のリストラです。会社の業績悪化や組織再編の際、真っ先にターゲットになるのは「いてもいなくても変わらない」社内ニートです。

リストラの対象になった時、社内ニートには抗弁する材料がありません。「自分がいなくなったら困る」と言えるような実績も、専門スキルもないからです。そして、いざ転職活動を始めようとしても、長期間まともに働いていなかった経歴は大きなハンデとなります。

面接で「前職では何をしていましたか?」と聞かれた時、答えることができません。職歴書に書ける具体的な成果もなく、スキルを証明することもできません。結果として、転職活動は長期化し、条件の悪い仕事しか見つからなくなります。

2. 社内で完全に孤立し、精神的に破綻する

社内ニートとして長期間過ごしていると、職場での人間関係が完全に破綻します。同僚からは軽蔑され、上司からは邪魔者扱いされ、部下からは尊敬されない状態になります。

この孤立感は想像以上に辛いものです。職場は人生の大部分を過ごす場所ですから、そこで居場所がないというのは精神的に大きな負担となります。毎日8時間以上、誰とも有意義な会話をせず、ただ時間が過ぎるのを待つだけの生活は、人間の尊厳を奪います。

やがて、この状況に耐えきれなくなり、うつ病や適応障害などの精神的な病気を発症することがあります。一度精神的な病気になってしまうと、回復には長い時間がかかり、その間のブランクがさらに転職を困難にします。

3. 家族や友人からの信頼を失い、社会的に孤立する

社内ニートの状況は、家族や友人にも隠し続けることができません。「仕事で何をしているの?」「最近どう?」といった何気ない質問に答えることができず、やがて嘘をつくようになります。

しかし、嘘は必ずバレます。そして、仕事をサボっていることが知られた時、家族や友人からの信頼は地に落ちます。「いい年をして何をやっているんだ」「真面目に働けないのか」といった厳しい言葉を浴びせられることになります。

特に配偶者や子どもがいる場合、その影響は深刻です。家族を養う責任があるにも関わらず、まともに働いていないという事実は、家庭内の関係を悪化させます。最悪の場合、離婚や家族離散という結果を招くこともあります。

 

今すぐ行動を起こして、未来を変えよう

社内ニートの現実は、決して羨ましいものではありません。短期的には楽に見えても、長期的には非常に大きなリスクを抱えています。そして、そのリスクは時間が経つほど大きくなっていきます。

もしあなたが現在社内ニートの状態にあるなら、今すぐ行動を起こしてください。明日から、来週から、来月からではなく、今すぐです。時間が経てば経つほど、脱出は困難になります。

また、もしあなたが社内ニートを羨ましいと思っているなら、その考えを改めてください。本当に必要なのは、楽をすることではなく、やりがいのある仕事を見つけることです。自分に合った働き方を見つけるために、転職やキャリアチェンジを検討してみてはいかがでしょうか。

人生は一度きりです。貴重な時間を無駄にせず、充実した働き方を実現するために、今日から行動を始めましょう。あなたにはその価値があり、その可能性があるのです。