会社で仕事をし始めて、ようやく慣れてきた頃。
ある日上司から呼び出され、何か問題を起こしてしまったかと思ったら。管理職への打診だった、、、
この記事を読んでいる方の中にも、そんな状況に置かれている方がいるのではないでしょうか。
管理職になると、これまで培ってきたプレイヤーとしてのスキルとは全く異なる、マネジメントスキルが問われることになります。
残念ながら管理職に就いている人の中には、プレイヤー時代は優秀だったけれど、管理職である今は・・・という人が大勢います。
この記事では、管理職に向いていない人が抱えている特徴をご紹介します。
管理職に向いていない人間の特徴

あなたが管理職打診を受けて迷っているなら、まず自分が管理職に向いているかどうかを客観的に判断することが大切です。以下の7つの特徴に多く当てはまる人は、管理職になることで自分も部下も不幸になる可能性が高いと言えるでしょう。
特徴1:部下の反対意見を聞かずに潰してしまう
具体的な場面 チーム会議で新しいプロジェクトの方針を説明した際、ある部下が「この方法だと現場で問題が起きそうです」と反対意見を述べました。
向いていない管理職の反応 「君は代替案があるのか?批判するだけなら誰でもできる」と感情的に反応し、部下の意見を頭ごなしに否定してしまいます。
なぜ問題なのか 反対意見は貴重な情報源です。現場を知る部下からの異議申し立ては、プロジェクトの問題点を事前に発見する重要な機会なのです。これを潰してしまうと、後で大きな問題となって現れます。
現代の若手部下の反応 Z世代の部下は、このような対応をされると「この上司とは建設的な議論ができない」と判断し、以後一切の意見を述べなくなります。結果として、チーム全体のパフォーマンスが低下します。
特徴2:プレイヤー時代の自分の成績を部下に自慢する
具体的な場面 部下の営業成績が思わしくない時に、「俺が君の年齢の時は、月間売上1000万円を3か月連続で達成していた」と過去の自慢話を始めます。
向いていない管理職の思考 「自分の成功体験を話せば、部下のモチベーションが上がるはず」と考えていますが、これは完全な勘違いです。
なぜ逆効果なのか 現代の若手は、時代背景や市場環境が全く違うことを理解しています。「今とは状況が違うのに、昔の成功談を聞かされても参考にならない」と感じ、むしろ上司への尊敬の念を失います。
正しいアプローチ 成功体験ではなく、「失敗から学んだこと」「困難をどう乗り越えたか」という学びの過程を共有する方が、部下にとって価値のある情報となります。
特徴3:プライドが高く威圧的
具体的な行動パターン
- 部下が間違いを指摘すると不機嫌になる
- 自分の判断に疑問を持たれることを極端に嫌う
- 部下の提案を「生意気だ」と感じてしまう
- 会議で自分の意見が通らないと露骨に不満を示す
現代職場への影響 現在の職場では、上下関係よりも「チームワーク」が重視されます。威圧的な管理職は、心理的安全性を損ない、チーム全体の創造性と生産性を大幅に低下させます。
Z世代の価値観との衝突 Z世代は「権威への盲従」を嫌い、「対等な関係での協力」を好みます。威圧的な管理職の下では、優秀な若手ほど早期に転職してしまいます。
特徴4:周囲を気に掛けない
具体的な問題行動
- 部下の表情や体調の変化に気づかない
- チーム内の人間関係のトラブルを把握していない
- 上層部の方針変更を部下に伝えるのが遅い
- 市場や業界の変化に鈍感
現代管理職に求められる「センサー能力」 現代の管理職には、様々な変化を敏感に察知する「センサー能力」が不可欠です。特に以下の分野での感度が重要です:
- 部下のメンタルヘルス状態
- チーム内のコミュニケーション状況
- 上層部の戦略変更の兆候
- 市場環境の変化
- 競合他社の動向
これらに鈍感な管理職は、問題が深刻化してから気づくため、対処が後手後手に回ってしまいます。
特徴5:共感力に欠けている
共感力不足の典型例 部下:「最近、仕事の量が多すぎて、プライベートの時間が全く取れないんです…」 向いていない管理職:「で、結局何が言いたいの?解決策はあるの?」
なぜ共感が重要なのか 部下が上司に相談する時、必ずしも具体的な解決策を求めているわけではありません。多くの場合、「自分の状況を理解してもらいたい」「気持ちを受け止めてもらいたい」という欲求があります。
正しい共感的対応 「それは大変だね。具体的にはどんな業務が負担になっている?一緒に解決方法を考えてみよう」
このような共感的な対応ができない管理職の下では、部下は孤立感を深め、最終的に退職や精神的な不調につながります。
特徴6:プレッシャーに弱い
管理職が直面するプレッシャーの種類
- 業績達成への責任:チーム全体の売上や成果への責任
- 人材管理への責任:部下の成長、定着、メンタルケア
- 上層部からの期待:経営方針の実現、コスト削減の要求
- 対外的な責任:顧客対応、トラブル処理
- 自己成長への責任:管理スキルの向上、業界知識の更新
プレッシャーに弱い管理職の症状
- 重要な決断を先延ばしにする
- 部下に責任を押し付けがちになる
- ストレスで判断力が低下する
- 感情的になりやすくなる
- 体調不良が続く
現代の管理職に求められるプレッシャー耐性は、10年前と比較して格段に高くなっています。この耐性がない人が管理職に就くと、本人だけでなくチーム全体が不安定になります。
特徴7:真面目過ぎる
「真面目すぎる」が問題になる理由 一見すると良い特徴のように思えますが、管理職においては以下の問題を引き起こします:
- 完璧主義による行動の遅さ:全てを完璧にしようとして、スピード感を失う
- 部下の小さなミスへの過度な反応:細かいことまで気になって、部下を萎縮させる
- 規則への固執:状況に応じた柔軟な対応ができない
- 自分への過度な責任感:全てを自分で抱え込み、燃え尽きる
現代管理職に求められる「適度ないい加減さ」 現代の管理職には、時として以下のような「いい加減さ」が必要です:
- 部下の小さなミスに目をつぶる度量
- 完璧でなくても前に進む決断力
- ルールを状況に応じて柔軟に解釈する判断力
- 自分にも部下にも適度な「ゆるさ」を許容する包容力
真面目すぎる人は、これらの柔軟性を身につけることが非常に困難で、結果として管理職として機能しなくなります。
管理職になるなら覚悟しておくべきこと

もしあなたがこれから管理職になるのなら、最低でも以下の点は覚悟しておくことをおすすめします。
自分勝手な部下の責任も自分が負う
職場にいる部下は、全員が真面目で優秀なわけではありません。
中にはやる気がなくいい加減で、自分勝手なことばかり言う部下も存在します。
しかし管理職である以上、そんな部下のすることの責任も、自分が負わなければなりません
それは、今あなたが想像しているより遥かに理不尽で、時に腹立たしく感じるでしょう。
これも仕事の1つで自分の役割だと割り切れないと、管理職を長く続けることはできません。
間に挟まれる苦悩は想像以上
管理職は、会社の中で上層部とプレイヤーの中間に位置します。
ドラマや映画でその苦悩が描かれていることがありますが。現実はあれ以上に苦悩の連続です。
上層部は現場を分かっておらず。現場は上層部の戦略を理解できない。
両者は各々勝手なことを主張し、そのしわ寄せは全て管理職であるあなたに向かいます。
しかし、それをどうにかすることは、管理職の権限では不可能であることがほとんどです。
そんな終わりなき苦悩と闘い続けることができるでしょうか。
誰にも褒められない
管理職の努力は、表には見えないものが多いです。
そのため、部下はもちろん、上層部も褒めてくれることはほぼありません。
反面、失敗すると大きな影響を与えるものが多いため、ミスは許されません。
こんな状態が続くと、自分が何のために仕事をしているのか、分からなくなることも多々あります。
縁の下の力持ちとして、努力し続ける覚悟がないと厳しいでしょう。
労働量に見合わない給料
管理職の給料は、決して高いとは言えません。
会社によってはプレイヤーに毛が生えた程度か、残業代の関係でプレイヤーより安いこともあります。
それなのに、負担はプレイヤーとは比較にならないくらい高く、見合っていないことがほとんど。
そんな待遇でも、モチベーションを保ち続けることができるかは、自分次第です。
管理職になるメリット

ここまで管理職の悪い面ばかり解説してきましたが、もちろん以下のメリットもあります。
経歴に箔が付く
管理職として部下をマネジメントした経験は、今後どの職場に行っても応用できるスキルとなります。
また、管理職の経験があると、転職の際も注目されることが多く、箔が付きます。
今の会社を踏み台にして、やりたい仕事がある場合は、経験しておくといいでしょう。
マネジメント側の苦悩が分かる
管理職になると、プレイヤーの立場からは全く見えなかったことが、たくさん見えるようになります。
そこには、自分が思いもよらない問題や課題に、管理職が立ち向かっていたことなども分かる風景があります。
会社で最前線を張るのはプレイヤーですが、その後方にいる管理職の働きは、欠かすことができません。
自身が管理職になることで、その過酷さや苦悩が全て身をもって理解できるようになるのです。
組織の全貌が見えるようになる
管理職になると、自分の会社の本質が見えてくるようになります。
プレイヤーの立場には隠されていた、汚い部分や醜い部分もあります。
しかしそれらを見ることで、「仕事とは何だろう?」と改めて考えるきっかけにもなり得ます。
管理職として学べることは、マネジメントだけに限りません。
不安があるなら辞めること。管理職を避けることで得られるメリット
管理職に付くべきか、つかないべきか。最終的に決めるのは、自分自身です。経験することで得られるものは間違いなくたくさんありますが、同時に失うものもたくさんあります。
どちらを選ぶかは人それぞれですが、筆者自身の経験から言わせてもらうなら、少しでも不安があって迷うのであれな、やめるべきです。
管理職として背負うものは、1度持つと下ろすことが容易ではありません。自分が迷えばチームも迷い、問題が発生します。
それら全てを受け入れ、覚悟し、挑もうとする姿勢が管理職として成功するための最低条件です。
現代における「成功」の再定義
かつて「成功」とは、「出世」「昇進」「管理職への昇格」と同義でした。しかし、価値観が多様化した現代では、成功の定義も大きく変わっています。
Z世代が考える「成功」の要素
- 時間的自由の確保:自分の時間を自分でコントロールできること
- 精神的健康の維持:ストレスの少ない職場環境
- 継続的なスキルアップ:市場価値の高いスキルを身につけること
- ワークライフバランス:仕事と私生活の両立
- やりがいのある仕事:自分の価値観に合った業務内容
これらの要素を見ると、管理職になることは「成功」とは正反対の方向に向かうことがわかります。
管理職を避けることで得られる5つのメリット
メリット1:時給換算での収入最大化 管理職の年収が一般社員より50万円高くても、労働時間が年間500時間増えれば、時給換算では実質減収となります。管理職を避けることで、効率的な働き方を維持できます。
メリット2:スキルアップへの時間投資 管理職になると、人材管理や社内政治に時間を取られ、専門スキルの向上がおろそかになります。専門職として極めることで、より高い市場価値を獲得できます。
メリット3:精神的健康の維持 板挟みストレス、責任圧迫、人間関係の調整など、管理職特有のストレスを避けることで、精神的な健康を保つことができます。
メリット4:キャリアの選択肢拡大 専門スキルを磨き続けることで、転職市場での選択肢が広がります。特にIT、デザイン、マーケティングなどの専門職は、管理職経験よりも実務スキルが重視されます。
メリット5:ライフスタイルの自由度 管理職は会社に縛られる度合いが高くなりますが、専門職として独立や副業、フリーランスへの転身など、様々な働き方の選択肢を持てます。
「専門職極め型キャリア」の成功事例
事例1:ITエンジニアのAさん(32歳) 管理職打診を断り、技術を極める道を選択。現在はフリーランスとして年収1200万円を達成。週3日勤務で、残りの時間は家族との時間と新技術の学習に充てている。
事例2:マーケターのBさん(29歳) 課長昇進を辞退し、デジタルマーケティングのスペシャリストとして転職。年収は前職の管理職と同程度だが、労働時間は30%減少。副業でコンサルティングも行い、総収入は以前の1.5倍に。
事例3:デザイナーのCさん(35歳) 部長昇進の話を断り、クリエイティブディレクターとして独立。個人事業主として大手企業のプロジェクトを複数担当し、管理職時代の2倍の収入を実現。
管理職を断ることのリスクとその対処法
リスク1:社内での評価低下 対処法:転職を視野に入れたキャリア戦略の構築。社外での評価を高める活動(勉強会、セミナー、SNS発信など)を積極的に行う。
リスク2:昇給機会の限定 対処法:専門スキルによる市場価値向上で、転職による年収アップを図る。一つの会社にこだわらず、より良い条件の職場を探す。
リスク3:同僚との関係変化 対処法:管理職を目指さない理由を明確に説明し、理解を求める。同じ価値観を持つ仲間とのネットワークを構築する。
現代社会が求める新しい働き方
リモートワーク時代の専門職の価値
コロナ禍を経て、リモートワークが一般化したことで、働き方に大きな変化が生まれています。この変化は、専門職にとって追い風となっています。
リモートワークにおける管理職の課題
- 部下の労働状況の把握困難
- コミュニケーション不足による誤解の増加
- チームビルディングの難しさ
- 成果測定の複雑化
リモートワークにおける専門職の優位性
- 成果が明確で評価しやすい
- 場所に縛られない働き方が可能
- 個人のスキルが直接価値につながる
- 自己管理能力の高さが評価される
副業・複業時代における専門職の可能性
現在、多くの企業で副業が解禁されています。この流れは、専門職にとって大きなチャンスとなっています。
管理職の副業制限
- 利益相反の可能性
- 時間的制約
- 会社の機密情報保護の観点
専門職の副業メリット
- スキルを活かした収入源の多様化
- 異なる業界での経験蓄積
- 人脈の拡大
- 独立への準備
フリーランス・起業への道筋
専門スキルを磨き続けることで、将来的にフリーランスや起業への道も開けてきます。
専門職からフリーランスへの移行プロセス
- スキルの特化と深化:特定分野での専門性を高める
- ポートフォリオの構築:実績と成果物の蓄積
- 人脈の構築:業界内でのネットワーク形成
- 副業での実践:小さなプロジェクトから始める
- 独立準備:財務管理、営業スキルの習得
- フリーランス転身:安定収入の確保後に独立
まとめ:勇気を持って「NO」と言う時代
現代は、従来の「出世神話」が崩壊した時代です。管理職になることが必ずしも幸せにつながらない現実を、多くの若い世代が理解しています。
Z世代の管理職離れは、決して「やる気がない」からではありません。彼らは合理的に判断した結果、管理職の「コストパフォーマンスの悪さ」を見抜いているのです。
管理職を断ることは逃げではありません。それは、自分の人生を主体的に選択する勇気ある決断です。
もしあなたが管理職打診を受けて迷っているなら、以下のことを思い出してください。
- 成功の定義は人それぞれ違う
- 専門性を極めることも立派なキャリア
- 時間と精神的健康は何にも代えがたい価値
- 自分らしい働き方を選ぶ権利がある
最後に、この記事を読んだあなたに伝えたいメッセージがあります。
あなたの人生はあなたが主人公です。他人の期待や社会の常識に縛られる必要はありません。自分が本当に大切にしたい価値観を基準に、勇気を持って選択してください。
管理職を断ったからといって、あなたの価値が下がることはありません。むしろ、自分の信念を貫く強さを示すことで、真の意味での成功への道が開けるのです。
今日からでも遅くありません。あなたの理想とするキャリアに向けて、最初の一歩を踏み出してみませんか?