「残業続きで長時間労働となっていて辛い」や「休みがロクに取れず辞めたい」というような、仕事が忙しいことによる悩みは数多くの人が抱えている問題です。

しかし、実はその裏で「仕事が暇すぎて嫌だ」という人も、一定数存在しています。

一見ぜいたくとかワガママに見える悩みですが、当事者からすると「やることがないのに給料だけもらっている」という状態は精神的に辛く、周囲の視線も気になってしまいます。

この記事では、仕事が暇で辞めたいと悩んでいる方に、そのリスクや打開策を解説します。

僕自身、かつて仕事が暇なことで同じように苦しんだことがあるので、参考にしていただければ幸いです。

 

『仕事が暇』がピンチである3つの理由

まず、仕事が暇であるという状況は、様々なリスクを抱えています。

主なリスクは以下の通りです。

 

スキルアップができない(成長機会の損失)

社会人は、自分が担当している仕事を通じて、スキルアップを重ねていきます。

営業であればトーク力やカウンセリング力、経理であれば決算処理など、それぞれの業種に応じて身に付けられるスキルは様々です。

そこから1つの業種に特化したスペシャリストとなるのか、他の業種でも活躍できるようなゼネラリストになるのか等、キャリアプランを練っていくことになります。

仕事が暇ということは、スキルアップするための要素がほとんどありません。

そのため、今は平気でも将来的にスキル不足となり、仮に自分のやりたいことができても、チャレンジできないかもしれないのです。

 

転職活動時にアピールできる材料が少ない

転職活動において、避けることのできない1つが面接です。

この時質問される可能性の高いものが、前職でどのような経験を積み、それを自社でどう活かすかということ。

これは転職先の会社でどの程度活躍してくれる(戦力になるか)かを確認していますが、仕事が暇な場合、このエピソードに苦しむこととなります。

何せ自分がやっている仕事自体があまりないので、少ないものからから捻りださなければならないためです。

 

ある日いきなり追及される可能性がある

今の仕事が暇な状況が、今後もずっと続くとは限りません。

社内に何らかの変化があった場合、今まで見過ごされてきたことが、急に許されなくなることも多々あります。

そのような急激な変化は、暇な状況が長ければ長いほど、大きな反動として心身に影響を与えるもの。

それが引き金となって、調子を崩してしまう可能性もあるのです。

 

なぜ「仕事が暇」だと心が病むのか?

人間の脳は「意味のある活動」を求めている

人間の脳は、常に何かしらの刺激や課題を求めています。これは進化の過程で身についた本能的な欲求です。狩猟採集時代から現代まで、人間は生存のために常に何かしらの活動をしてきました。

ところが、現代のオフィスワークでは、この本能的な欲求が満たされない状況が生まれています。やることがない状態が続くと、脳は「何か問題があるのではないか」「自分は不要な存在なのではないか」と不安になってしまうのです。

「暇疲れ」という現象

意外に思われるかもしれませんが、「何もしない」ことは実は非常に疲れる行為です。これを心理学では「暇疲れ」と呼びます。

暇疲れの主な症状は以下の通りです。

  • 集中力の低下
  • 慢性的な疲労感
  • 不安感やイライラ
  • 自己嫌悪
  • 睡眠の質の低下
  • 食欲不振

これらの症状は、まさに軽度のうつ病の症状と似ています。つまり、仕事が暇すぎる状態は、精神的な健康に深刻な影響を与える可能性があるということです。

社会的なプレッシャーとの板挟み

「仕事が暇」という悩みを抱える人たちは、社会的なプレッシャーとの板挟みに苦しんでいます。

一方では「働かざる者食うべからず」という価値観があり、他方では「忙しすぎるのは良くない」「ワークライフバランスが大切」という価値観があります。この矛盾した価値観の中で、「暇すぎる」という状況は非常に居心地の悪いものになってしまうのです。

時間感覚の歪み

やることがない時間は、異常に長く感じられます。これは心理学で「時間知覚の歪み」と呼ばれる現象です。楽しい時間はあっという間に過ぎ、退屈な時間は永遠に続くように感じられる—これは誰もが経験したことがあるでしょう。

8時間の勤務時間の中で、実質的な仕事が1〜2時間しかない場合、残りの6〜7時間は拷問のように長く感じられます。この時間感覚の歪みが、精神的な苦痛を増幅させているのです。

 

やり方次第で大きなチャンスになる

上記の通り、仕事が暇であることがリスクなのは事実です。

しかし、捉え方を変えればこれは大きなチャンスとも言えます。

なぜなら、暇だと感じているのであれば、それは自分に余力がある証拠です。

その余力があれば、やる気さえあれば仕事以外のことで大抵のことにはチャレンジできます。

有名な法則の1つに、『1万時間の法則』というものがあります。

これは何かで一流になるためには1万時間を費やさなければならないというもので、社会人として日々忙しく仕事をしている身では、現実的に厳しいものです。

しかし、仕事が暇で心身に余裕があれば、これに近づくことは可能です。

このように、ピンチをチャンスに変えられるかもしれません。

 

スキルアップに関しておさえておくべきこと

一言でスキルアップと言っても、無闇にやればいいというわけではありません。

具体的には、以下の点に留意して取り組むのがおすすめです。

 

会社に依存しなくてもよくなるスキルを身に付ける

近年よく言われていることに、『会社に頼らず自分の力だけで稼げるようにする』というものがあります。

これは大げさな意味ではなく、会社員として理不尽な目に遭いつつも、生活のために仕事を続けなければいけない状況から抜け出せる道を作っておこうということです。

そのスキルがあれば、会社に迎合する必要はなくなりますし、自分が会社を選ぶ立場に回ることが可能となります。

 

実用性のあるスキルを身に付ける

スキルの種類は数多く存在しますが、それが限定的(特定の分野でしか役に立たない)で実用性に乏しいものでは、あまり意味がありません。

汎用的かつ実用性の高いものであれば、今後自分がどの道に進むとしても、多かれ少なかれ役立つものとなります。

もちろん自分の適性(向き・不向き)に合わせる必要はありますが、現実的な面も考慮した上で何が良いかを決定しましょう。

 

形に残る(資格など)スキルを身に付ける

スキルで大切なことは、いかに役立つかということです。

しかし、それが一目で客観的に分かるようになっていないと、スキルを正しく評価してもらえない場合が数多くあります。

例えば『写真を撮るのが上手い』というのは、それだけではどれだけ上手いのか、いまいちピンときません。

しかし何かのコンクールで入賞していると、「入賞できるレベルに上手いんだ」と認識されて、上手さが保証されます。

人間は何だかんだで、肩書きにとても敏感で弱い生き物です。

肩書きのない実力者は世の中にたくさんいますが、それが通用するのはその世界にいる人達のみです。

その他のいわゆる素人にとっては、凄さは理解しきれません。

だからこそ、肩書きという素人にも分かりやすいものが必要なのです。

 

おすすめのスキルアップ方法

上記を踏まえた上で、おすすめのスキルアップ方法には以下のものがあります。

どれが性に合うかは人それぞれなので、純粋に自分が最も興味を持てるものを始めてみるとよいでしょう。

 

アフィリエイト(ブログ)

アフィリエイトは初期費用がほとんどかからないことが大きなメリットです。

ちゃんと稼げるようになるまでには相応の努力と時間が必要ですが、誰でも取り組めるかつ可能性のあるものなので、おすすめの1つです。

ブランディング力・マーケティング力・ライティングスキルなど、身に付けることのできるスキルも豊富です。

具体的な始め方について、こちらにまとめていますので良ければどうぞ。

 

株式投資

投資と聞くと「危ないもの」というイメージを抱く人もいるかもしれません。

しかし、今や株式投資は投資家だけではなく、主婦やサラリーマンも取り組んでいるメジャーなものとなっています。

国内外の情勢・世間のトレンド・政治や経済など、株式投資をするにあたっては様々な情報に精通している必要があるため、情報収集能力をはじめとした各ジャンルの知識も幅広く身に付けることができます。

 

英語

グローバル社会の現代では、英語を読み書きできる存在は重宝されます。

仕事面ではもちろん、プライベートでも大いに役立つ汎用性の高いスキルです。

読み書きに関しては、コツコツ勉強すれば確実に向上します。

最近はオンライン講座など学習できるサービスも充実しているので、独学と合わせて利用すると効率的に学ぶことが可能です。

 

今すぐ始められる「暇地獄」脱出法まとめ。

ステップ1:現状を正確に把握する(今週中に実行)

まずは、自分の現状を客観的に把握することから始めましょう。以下の質問に答えてみてください。

  1. 1日のうち、実際に仕事をしている時間はどれくらいですか?
  2. その仕事の内容は、どの程度スキルアップにつながっていますか?
  3. 現在の職場で、将来的にやりたい仕事に就ける可能性はありますか?
  4. 暇な時間をどのように過ごしていますか?
  5. この状況があと1年続いた場合、自分はどうなっていると思いますか?

これらの質問に正直に答えることで、現状の問題点と改善すべき点が明確になります。

ステップ2:スキルアップ計画を立てる(今月中に実行)

次に、具体的なスキルアップ計画を立てましょう。以下のフレームワークを使って、3ヶ月、6ヶ月、1年後の目標を設定してください。

即効性の高いスキル(3ヶ月で習得可能):

  • Excel、PowerPointの高度な使い方
  • ビジネスメールの書き方
  • 基本的なデザインスキル(Canva等)
  • SNSマーケティングの基礎

中期的なスキル(6ヶ月で習得可能):

  • プログラミングの基礎(Python、JavaScript等)
  • Webデザインの基礎
  • 動画編集スキル
  • オンライン講師としてのスキル

長期的なスキル(1年で習得可能):

  • 専門資格の取得(宅建、簿記、FP等)
  • 英語力の向上(TOEIC800点以上)
  • Webアプリケーションの開発
  • コンサルティングスキル

ステップ3:副業を始める(来月から実行)

暇な時間を活用して、副業を始めることをお勧めします。副業は単なる収入源ではなく、新しいスキルを実践的に身につける場でもあります。

初心者でも始めやすい副業:

  1. ライティング・翻訳
    • クラウドワークスやランサーズで案件を受注
    • 月収目標:3〜10万円
    • 身につくスキル:文章力、調査力、コミュニケーション力
  2. オンライン講師
    • ストアカやUdemyで講座を開講
    • 月収目標:2〜8万円
    • 身につくスキル:教育スキル、プレゼンテーション力
  3. データ入力・事務代行
    • 在宅ワークとして気軽に始められる
    • 月収目標:2〜5万円
    • 身につくスキル:正確性、効率性
  4. アフィリエイト・ブログ運営
    • 長期的な資産になる可能性が高い
    • 月収目標:0〜50万円(個人差が大きい)
    • 身につくスキル:マーケティング、SEO、文章力

ステップ4:職場環境の改善に取り組む(今月から実行)

副業やスキルアップと並行して、現在の職場環境の改善にも取り組みましょう。

上司や人事との相談:

  • 現在の業務量について率直に相談する
  • 新しい業務や責任を求める
  • 他部署への異動可能性を探る
  • 社内研修や外部研修への参加を申し出る

職場での積極的な行動:

  • 同僚の業務をサポートする
  • 業務改善提案を行う
  • 社内イベントの企画・運営に参加する
  • メンターやOJT担当者として後輩指導に携わる

ステップ5:転職活動の準備(3ヶ月後から本格開始)

スキルアップと副業である程度の実績を積んだら、転職活動の準備を始めましょう。

転職活動のスケジュール:

3ヶ月目:

  • 履歴書・職務経歴書の作成
  • 転職サイトへの登録
  • 業界研究・企業研究の開始

4〜5ヶ月目:

  • 転職エージェントとの面談
  • 応募企業の選定
  • 面接対策の実施

6ヶ月目以降:

  • 本格的な応募開始
  • 面接の実施
  • 内定獲得・条件交渉

ステップ6:メンタルヘルスのケア(継続的に実行)

「暇地獄」からの脱出は、精神的にも負担がかかる場合があります。メンタルヘルスのケアも忘れずに行いましょう。

日常的にできるメンタルケア:

  • 規則正しい生活リズムの維持
  • 適度な運動(週3回、30分程度)
  • 質の良い睡眠(7〜8時間)
  • バランスの取れた食事
  • 趣味や娯楽の時間を確保

専門的なサポート:

  • 必要に応じてカウンセリングを受ける
  • 産業医や保健師への相談
  • 心療内科の受診(症状が重い場合)

具体的な行動計画表

以下の行動計画表を参考に、あなた自身の計画を立ててみてください。

第1週:現状把握週間

  • 月曜日:1日の時間の使い方を記録開始
  • 火曜日:スキル棚卸し
  • 水曜日:転職サイトの情報収集
  • 木曜日:副業の種類調査
  • 金曜日:週間の振り返りと来週の計画

第2週:情報収集週間

  • 月曜日:オンライン学習サイトの登録
  • 火曜日:副業サイトへの登録
  • 水曜日:業界・職種研究
  • 木曜日:スキルアップ教材の選定
  • 金曜日:1週間の進捗確認

第3週:実践開始週間

  • 月曜日:選択したスキルの学習開始
  • 火曜日:副業案件への応募
  • 水曜日:上司との面談実施
  • 木曜日:LinkedIn等のプロフィール更新
  • 金曜日:第1回目標達成度チェック

第4週:習慣化週間

  • 月曜日:学習習慣の見直し
  • 火曜日:副業の初回実践
  • 水曜日:職場での新しい取り組み開始
  • 木曜日:ネットワーキング活動
  • 金曜日:1ヶ月の総括と来月の計画

 

暇であることを最大限に活かそう

「仕事が暇すぎて行きたくない」という状況は、確かに辛いものです。仕事が暇であるという状況に、モヤモヤや焦りを感じているのは正しいことです。

そのままで居続けるのは、飼い殺しにされていると言っても過言ではありません。もちろん職場の上司に相談してみたり、転職を検討するのも有効な手段の1つです。

しかし、どうせならそのピンチを最大限に活かして、今の状況だからこそできることをやりましょう。この記事で紹介した方法を実践することで、必ず状況を改善できます。

重要なのは、「今すぐ行動を始める」ことです。完璧な計画を立てるまで待つ必要はありません。小さな一歩から始めて、徐々に加速していけば良いのです。

あなたの人生はあなた自身のものです。他人や会社に左右されるのではなく、自分の意志で道を切り開いていきましょう。

今日から、いえ、この記事を読み終わったら今すぐに、最初の一歩を踏み出してください。未来のあなたは、今日の決断に感謝するはずです。

「暇地獄」からの脱出は可能です。そして、その先には充実した人生が待っています。あなたなら必ずできます。さあ、今すぐ始めましょう!