「新卒でベンチャー企業だけは絶対にやめとけ!」
就職活動をしていると、必ずと言っていいほど耳にするこの言葉。先輩や親、大学のキャリアセンターの職員から、まるで呪文のように繰り返されます。ベンチャー企業に入社することは、まるで人生の墓場に足を踏み入れるかのように語られることも少なくありません。
「給料が安定しない」「いつ倒産するか分からない」「福利厚生が整っていない」「ブラック企業が多い」「教育体制がない」──確かに、これらの指摘には一理あります。実際、ベンチャー企業には大手企業のような安定性や充実した研修制度がないケースが多いのは事実です。
しかし、本当にベンチャー企業は避けるべき選択肢なのでしょうか?
私自身、新卒で大企業に入社した後、6度の転職を経験し、そのうちの1社がベンチャー企業でした。最初は正直、不安でいっぱいでした。周囲からも「なぜわざわざベンチャーに?」と心配されました。しかし、実際に働いてみて分かったのは、ベンチャー企業には大企業では絶対に得られない貴重な経験やメリットがたくさんあるということです。
この記事では、「ベンチャー企業やめとけ論」の裏側にある真実と、実際に働いて分かった6つの大きなメリットについて、体験談を交えながら詳しくお伝えします。就職先や転職先としてベンチャー企業を検討している方、ベンチャー企業の実態を知りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
ベンチャー企業の実態とは?なぜ「やめとけ」と言われるのか

ベンチャー企業が敬遠される理由を正直に話そう
まず、なぜベンチャー企業がこれほどまでに「やめとけ」と言われるのか、その理由を正直にお話しします。批判されるには、それなりの理由があるのです。
最も大きな理由は、やはり安定性の欠如です。創業して間もない企業が多いベンチャー企業は、事業が軌道に乗っていないケースも多く、経営が不安定です。大手企業のように何十年も続いている企業とは違い、数年後には存在していない可能性もゼロではありません。実際、私が知人から聞いた話では、入社して半年で会社が倒産してしまったというケースもありました。
次に、給与や福利厚生の面での不安があります。大手企業のように充実した住宅手当や家族手当、退職金制度が整っていないベンチャー企業は珍しくありません。初任給も大手企業と比べると低めに設定されていることが多く、経済的な安定を求める人には向いていないかもしれません。
さらに、教育体制の未整備も指摘されるポイントです。大手企業では新入社員研修が数ヶ月にわたって行われ、ビジネスマナーから専門知識まで丁寧に教えてもらえます。しかしベンチャー企業では、「とりあえずやってみて」という現場主義が基本。手取り足取り教えてもらえる環境ではないため、自分で考えて行動できない人は戸惑うことになります。
それでもベンチャー企業を選ぶ人がいる理由
では、なぜこれだけデメリットがあるにもかかわらず、ベンチャー企業を選ぶ人がいるのでしょうか?
答えは簡単です。ベンチャー企業には、大企業では絶対に得られない経験と成長機会があるからです。
私が新卒で入った大企業では、配属された部署の業務範囲は極めて限定的でした。自分の担当する仕事は全体のほんの一部で、会社全体の事業がどう動いているのか、自分の仕事がどう貢献しているのか、まったく見えませんでした。毎日同じような作業の繰り返しで、3年目になっても新人の頃とやっていることがほとんど変わらない、という状況でした。
一方、ベンチャー企業では、入社直後から会社の中核となる業務に関わることができます。自分の提案が経営層に直接届き、実際に採用されることもあります。20代で現場のリーダーを任されることも珍しくありません。この「自分が会社を動かしている」という実感は、大企業では絶対に味わえないものです。
また、ベンチャー企業では多様なスキルを身につけられるという大きなメリットがあります。大企業では営業なら営業、経理なら経理と、専門分野が細分化されていますが、ベンチャー企業では一人で複数の役割をこなさなければなりません。営業をしながらマーケティングも考え、時には採用面接にも同席する。こうした経験は、将来どんな環境でも通用する汎用的なスキルとなります。
ベンチャー企業に向いている人、向いていない人
ここで重要なのは、ベンチャー企業が「良い」か「悪い」かではなく、「自分に合っているか」という視点です。
ベンチャー企業に向いているのは、こんな人です。
- 自分で考えて行動できる主体性のある人
- 変化を恐れず、柔軟に対応できる人
- 失敗を恐れず、チャレンジ精神がある人
- 早く成長したい、キャリアを積みたいという野心がある人
- 安定よりも、やりがいや成長を重視する人
逆に、ベンチャー企業に向いていないのは、
- 明確な指示がないと動けない受動的な人
- 安定した収入と生活を最優先する人
- 決められたルール通りに仕事をしたい人
- 変化やトラブルにストレスを感じやすい人
- ワークライフバランスを何よりも重視する人
私自身、大企業で3年間働いた後にベンチャー企業に転職したことで、自分が前者のタイプだと気づきました。大企業の安定性よりも、自分の裁量で仕事ができる環境の方が、自分には合っていたのです。
実際に働いて分かった6つの具体的なメリット

それでは、私が実際にベンチャー企業で働いて実感した6つのメリットを、具体的なエピソードを交えながら詳しくご紹介します。
メリット1:古くて下らない慣習がない──本当に大切なことに集中できる環境
ベンチャー企業の最大のメリットの一つは、創業して日が浅いため、大企業のような古い慣習や無駄な儀式が存在しないことです。
私が新卒で入社した大企業では、こんな慣習がありました。新入社員は毎朝30分早く出社して、オフィスの掃除をしなければならない。女性社員は上司にお茶を淹れる。会議では若手は発言せず、ただ議事録を取るだけ。飲み会では新人がビールを注いで回る。こうした「伝統」が、当然のこととして受け入れられていたのです。
「なぜこんなことをしなければならないのか?」と疑問に思っても、「昔からそうだから」「新人の仕事だから」という理由で片付けられてしまいます。掃除なら清掃業者に頼めばいいし、お茶は自分で淹れればいい。しかし、そうした合理的な提案は「生意気だ」と受け取られてしまう空気がありました。
ベンチャー企業には、こうした非効率的な慣習が一切ありません。なぜなら、そもそもそんな慣習を作る時間がないからです。全員が本業に集中しなければ、会社が成長できない。だからこそ、本質的でない業務は徹底的に排除されます。
掃除が必要なら当番制にするか、外注する。お茶は各自が好きな時に淹れる。会議では新人でも積極的に意見を求められる。飲み会も強制参加ではなく、行きたい人だけが参加する。すべてが合理的で、フラットです。
この環境の違いは、働くモチベーションに大きく影響します。無駄な慣習に時間を取られることなく、自分のスキルアップや会社への貢献に集中できる。これは想像以上に大きなメリットでした。
また、古株社員が幅を利かせていないのも見逃せないポイントです。大企業には、仕事はできないのに勤続年数だけは長いという理由で偉そうにしているおじさんや、新人をいびるお局様が必ずと言っていいほど存在します。彼らの機嫌を損ねないように気を遣うのは、本当にストレスでした。
ベンチャー企業では、勤続年数よりも実力が評価されます。入社したばかりでも、結果を出せば認められる。逆に、長くいても成果を出せなければ評価されない。このシンプルな評価基準は、若手にとって非常にフェアで働きやすい環境を作り出しています。
メリット2:短期間で出世が可能──20代で責任あるポジションに就けるチャンス
ベンチャー企業では、年齢や勤続年数に関係なく、実力次第で早期に出世できるのが大きな魅力です。
大企業では、どれだけ優秀でも、一定の年数を経なければ昇進できない「年功序列」が根強く残っています。私の大企業時代の同期には、入社2年目で既に管理職レベルの仕事をこなしている人がいましたが、それでも役職がつくのは早くて30歳前後。実力があっても、「順番」が来るまで待たなければならないのです。
一方、私が転職したベンチャー企業では、現場責任者の多くが20代でした。入社3年目で部門のマネージャーになった人、25歳で新規事業の責任者を任された人。実力さえあれば、年齢は関係ありません。
私自身も、ベンチャー企業に転職して1年半後には、小規模ながらチームのリーダーを任されました。メンバーの中には自分より年上の人もいて、最初は「年下に指示されて不満ではないか」と不安でした。しかし実際は、年齢よりも「結果を出せるか」が重視される文化だったため、スムーズにリーダーシップを発揮することができました。
もちろん、若くして責任あるポジションに就くことには、プレッシャーや苦労も伴います。経験不足からくる判断ミス、周囲からの期待に応えなければというストレス、時には年上の部下との関係に悩むこともあります。
しかし、この「責任を負う経験」こそが、圧倒的な成長につながります。30代、40代になってから初めて管理職になる人と、20代で既に管理職を経験している人では、身についているスキルやマインドセットに大きな差が生まれます。
早期に責任あるポジションを経験することで、以下のような能力が磨かれます。
- チームをまとめるリーダーシップ
- 限られたリソースで成果を出すマネジメント力
- プレッシャーの中で冷静な判断を下す決断力
- メンバーを育成し、モチベートするコーチング力
- 経営的な視点で物事を考える思考力
これらの能力は、将来どんなキャリアを歩むにしても必ず役立ちます。起業する場合はもちろん、大企業に転職する際も、「若くして管理職経験がある」ことは大きなアドバンテージになります。
ただし注意すべきは、ベンチャー企業は実力主義の裏返しとして、成果を出せなければ評価されないという厳しさもあるということです。どれだけ長く勤めていても、結果を出せなければ昇進はありません。この点は、安定志向の人には向かないかもしれません。
しかし逆に言えば、自分の実力に自信がある人、努力して成果を出す自信がある人にとっては、これほど公平な環境はありません。「若いから」という理由で機会を奪われることなく、実力で勝負できるのです。
メリット3:裁量権が大きい──自分の判断で仕事を進められる自由
ベンチャー企業で働く大きな魅力の一つが、個人に与えられる裁量権の大きさです。
大企業では、各役職の業務範囲と権限が明確に定められています。例えば、新しい企画を提案したいと思っても、まず直属の上司に相談し、その上司が部長に相談し、部長が役員に相談し……というように、何段階もの承認プロセスを経なければなりません。そして最終的に「前例がない」「リスクが高い」という理由で却下されることも少なくありません。
私が大企業にいた頃、業務効率化のためのシステム導入を提案したことがあります。明らかに効果が期待できる提案でしたが、稟議書を書き、複数の部署の承認を得るプロセスに3ヶ月以上かかりました。結局、予算の都合で導入は見送られ、提案から半年後には私の情熱も完全に冷めてしまっていました。
ベンチャー企業では、こうした煩雑なプロセスはほとんどありません。良いアイデアがあれば、すぐに経営層に提案でき、良いと判断されればすぐに実行に移せます。意思決定のスピードが圧倒的に速いのです。
また、日常業務においても、自分の判断で進められる範囲が広いのが特徴です。例えば、顧客対応で問題が発生した場合、大企業では上司に報告して指示を仰ぐのが基本ですが、ベンチャー企業では自分の判断で解決策を提示し、実行することが求められます。
最初は「この判断で本当に良いのだろうか」と不安になることもありました。しかし、この「自分で考えて決断する」経験の積み重ねが、ビジネスパーソンとしての大きな成長につながります。
裁量権が大きいということは、同時に責任も大きいということです。自分の判断が間違っていれば、その責任は自分が負わなければなりません。失敗したときは、素直に認めて改善する。この厳しさがあるからこそ、慎重に考え、成長できるのです。
「いちいち上司にお伺いを立てるのが面倒」「自分の考えで仕事を進めたい」という人にとって、ベンチャー企業の環境は最高です。縦割り組織に縛られることなく、横断的に動き、自分のアイデアを形にできる。このダイナミックな働き方は、一度経験すると病みつきになります。
メリット4:自分でルールを作れる──組織に影響を与えられるやりがい
ベンチャー企業の面白さは、まだルールが固まっていないからこそ、自分でルールを作れる点にあります。
大企業には、何十年もかけて作り上げられた詳細なルールやマニュアルが存在します。業務フロー、承認プロセス、経費精算の方法、休暇申請の手順など、あらゆることが明文化されています。新入社員は、このルールを学び、従うことから始まります。
一方、ベンチャー企業では、ルール自体がまだ整備されていないことが多いのです。「これってどうするんですか?」と聞いても、「うーん、前例がないから、良い方法を考えてくれない?」と返されることがよくあります。
最初は「えっ、決まってないの?」と戸惑いました。真面目にルール通りに仕事をしたい人にとっては、この曖昧さはストレスかもしれません。しかし見方を変えれば、これは自分の提案が組織のスタンダードになるチャンスなのです。
私の経験では、経費精算のプロセスが曖昧だったため、効率的な新しいフローを提案したことがあります。クラウド型の経費精算システムを導入し、承認プロセスを簡略化する内容でした。提案はすぐに採用され、今でもその仕組みが使われています。自分が作ったルールが会社の標準になる。この達成感は、何にも代えがたいものがあります。
また、勤務形態についても柔軟です。私が在籍していたベンチャー企業では、リモートワークの制度が曖昧でした。そこで、「週2日はリモート可能」というルールを提案し、実験的に導入。結果として生産性が向上したため、正式な制度として採用されました。
もちろん、誤解してほしくないのは、「自分の都合の良いようにルールを作る」という意味ではないということです。あくまでも会社全体の利益を考え、より良い仕組みを提案する。その提案が採用される可能性が高いのが、ベンチャー企業の魅力なのです。
大企業では、一個人の提案で会社のルールを変えることは極めて難しいです。しかしベンチャー企業では、個人が組織に与えられる影響が大きい。「自分が会社を作っている」という実感を持ちながら働けるのは、ベンチャー企業ならではの醍醐味です。
メリット5:制度が未完成で緩い──硬直的でない自由な働き方
ベンチャー企業の制度が未完成であることは、一般的にはデメリットと見なされます。しかし、実際に働いてみると、この「緩さ」が意外なメリットになることもあります。
大企業では、勤務時間、休憩時間、休暇の取得方法など、すべてが厳格に決められています。9時出社が1分でも遅れれば遅刻、昼休みは12時から13時までと決まっていて、その時間外に席を外すのは好ましくない。有給休暇を取るには1週間前までに申請が必要、など細かいルールだらけです。
ベンチャー企業では、こうしたルールが「何となく」運用されていることが多いです。明確なNGラインが設定されていないため、ある程度の融通が利きます。
例えば、「今日は集中力が続かないから、午後は早めに切り上げて明日頑張ろう」という判断ができます。もちろん仕事が滞れば問題ですが、成果さえ出していれば、働き方は各自の裁量に任されている部分が大きいのです。
また、服装も自由な場合が多いです。大企業では「ビジネスカジュアル」といっても実質的にスーツ着用が暗黙のルールだったりしますが、ベンチャー企業では本当に自由。Tシャツとジーンズで出社しても何も言われません。
こうした「緩さ」は、硬直的なルールに縛られたくない人にとっては大きなメリットです。自分のペースで、自分らしく働ける環境は、ストレスを減らし、長期的な生産性向上につながります。
ただし、この緩さに甘えてサボってばかりいると、当然評価は下がります。自由には責任が伴う。自己管理能力が求められるのは、言うまでもありません。
また、将来的に会社が成長して制度が整備されると、この緩さは失われていきます。しかし、それまでの間は、比較的自由に働けるという特権を享受できるのです。
メリット6:反面教師となるモデルがたくさんいる──自己肯定感が高まる環境
これは少し意外なメリットかもしれませんが、ベンチャー企業には**「こうなりたくない」という反面教師が豊富にいる**ことが、実は成長につながります。
「ベンチャー企業=優秀な人材の集まり」というイメージを持っている人も多いでしょう。確かに、キラキラと輝くような才能あふれる人もいます。しかし実態は、そうとは限りません。むしろ、「この人、大丈夫?」と思ってしまうような人も少なくないのです。
計画性がなく場当たり的な対応ばかりする上司、約束を守らない営業担当、コミュニケーションが取れない開発メンバー。大企業では採用されないであろう人材が、ベンチャー企業には意外と多く存在します。
最初は「こんな人たちと一緒に働いて大丈夫だろうか」と不安になりました。しかし、逆に考えれば、これは**「自分はまだマシだ」と自己肯定感を高められる環境**でもあるのです。
「あの人みたいな無責任な対応はしないようにしよう」「あの人みたいに準備不足で会議に臨むのはやめよう」と、反面教師にできるモデルが身近にいることで、自然と自分の行動を律することができます。
また、こうした人たちを見ていると、「世の中、こんな人でも仕事をして生きていけるんだな」と妙に勇気づけられることもあります。完璧でなくても、失敗しても、何とかなる。この気づきは、過度に自分を追い込んでしまう真面目な人にとって、心の余裕を生み出してくれます。
もちろん、優秀な人からは学び、そうでない人からは反面教師として学ぶ。両方のタイプがいるベンチャー企業だからこそ、多様な学びが得られるのです。
ベンチャー企業で自分の可能性を試してみませんか

ここまで、ベンチャー企業で働くメリットについて詳しくお伝えしてきました。最後に、これからのキャリアを考えているあなたに、具体的な行動を提案させてください。
ベンチャー企業は自分の実力を測れる最高の場所
ベンチャー企業は、良くも悪くも自分の実力が如実に表れる環境です。未整備で未成熟な部分が多いからこそ、自発的に行動し、自分で道を切り拓いていかなければ、仕事は前に進みません。
求められるのは、頭の回転の速さ、柔軟な対応力、次々に起こるトラブルにも動じない冷静さ。大企業のような明確な分業制ではなく、何でもこなすゼネラリストとしての能力です。マルチタスクをこなし、優先順位をつけ、限られたリソースで最大の成果を出す。この経験は、あなたのビジネススキルを飛躍的に向上させます。
「自分がどこまでやれるか知りたい」「自分ならやれるという自信がある」──そう思える人にとって、ベンチャー企業は最高の舞台です。
反対に、保守的で受動的なタイプの人には、正直なところ厳しい環境かもしれません。指示待ちでは仕事にならないし、変化を嫌う人には日々のトラブル対応がストレスになります。
しかし、たとえ最終的にベンチャー企業が自分に合わないと分かったとしても、人生で一度は経験しておく価値があると私は断言します。なぜなら、ベンチャー企業での経験は、その後のキャリアにおいて必ず役立つからです。
大企業に転職する際も、「ベンチャー企業で〇〇の新規事業を立ち上げた」「少人数のチームをマネジメントした」という経験は、大きな武器になります。起業する場合はもちろん、ベンチャー企業での経験がそのまま活きます。フリーランスとして独立する場合も、自分で考えて動く力が不可欠です。
今すぐできる具体的なアクション
「ベンチャー企業に興味が湧いてきた」「でも、いきなり転職するのは不安」──そう思ったあなたに、今すぐできる具体的なアクションをご紹介します。
ステップ1:情報収集から始めよう
まずは、ベンチャー企業についてもっと詳しく知ることから始めましょう。転職サイトでベンチャー企業の求人を眺めてみる、ベンチャー企業で働いている人のブログやSNSをチェックする、企業のホームページを見て事業内容を理解する。情報を集めることで、自分に合いそうな企業や業界が見えてきます。
ステップ2:キャリア支援サービスに相談する
ベンチャー企業への転職を本格的に考え始めたら、キャリア支援サービスやエージェントに相談してみましょう。プロのキャリアアドバイザーは、あなたの経験やスキル、志向性を踏まえて、最適なベンチャー企業を紹介してくれます。
重要なのは、転職すると決めてから相談するのではなく、迷っている段階で相談することです。「そもそも自分はベンチャー企業に向いているのか」「今のタイミングで転職すべきか」といった根本的な疑問に、客観的なアドバイスをもらえます。
相談したからといって、必ず転職しなければならないわけではありません。話を聞いた結果、「やはり今は大企業で経験を積むべきだ」と判断することもあるでしょう。それも立派な意思決定です。大切なのは、情報を得た上で、自分で納得して選択することです。
ステップ3:ベンチャー企業の説明会やイベントに参加する
多くのベンチャー企業は、採用説明会やオフィス見学会、交流イベントなどを開催しています。こうしたイベントに参加することで、実際の社員と話ができ、オフィスの雰囲気を肌で感じることができます。
ウェブサイトや求人票だけでは分からない、リアルな情報が得られるのが大きなメリットです。「思ったより若い人が多い」「意外とアットホームな雰囲気」など、実際に足を運ばなければ分からない発見があるはずです。
また、イベントで知り合った社員に、直接質問することもできます。「実際の労働時間はどれくらいですか」「残業は多いですか」「どんな人が活躍していますか」など、率直な疑問をぶつけてみましょう。誠実に答えてくれる企業であれば、信頼できるサインです。
ステップ4:自分の市場価値を知る
ベンチャー企業は実力主義。だからこそ、自分の市場価値を客観的に把握することが重要です。
転職サービスの中には、あなたの経歴やスキルを登録すると、想定年収や市場価値を診断してくれるものがあります。こうしたツールを使って、「自分は今、どれくらいの評価を受けられるのか」を知っておきましょう。
市場価値が高ければ、ベンチャー企業でも好条件で転職できる可能性があります。逆に、まだ経験が浅い場合は、「もう少し今の会社でスキルを磨いてから」という判断もできます。
ステップ5:小さく試してみる
「いきなり転職するのはリスクが高い」と感じる人は、まず小さく試してみるのも一つの方法です。
例えば、副業が許可されている会社であれば、ベンチャー企業で週末だけ手伝うという形でコミットしてみる。あるいは、インターンシップやプロボノ(専門スキルを活かしたボランティア)として関わってみる。こうした形で実際にベンチャー企業の環境を体験することで、「自分に合っているか」を確かめることができます。
ベンチャー企業に向いているかを見極める3つの質問
最後に、あなたがベンチャー企業に向いているかを見極めるための、3つのシンプルな質問を用意しました。正直に自分に問いかけてみてください。
質問1:「安定」と「成長」、どちらを優先しますか?
給与や雇用の安定性を最優先するなら、大企業の方が向いています。しかし、「多少のリスクがあっても、早く成長したい」「スキルを磨いて市場価値を高めたい」と思うなら、ベンチャー企業があなたに合っています。
質問2:曖昧な状況でも、自分で考えて動けますか?
「これってどうすればいいですか?」と聞いても、明確な答えが返ってこない。そんな状況でも、自分で調べ、考え、試行錯誤しながら前に進める人は、ベンチャー企業で活躍できます。逆に、明確な指示がないと動けない人には厳しい環境です。
質問3:失敗を恐れず、チャレンジできますか?
ベンチャー企業では、新しいことに挑戦する機会が多い反面、失敗するリスクも高くなります。失敗を「学びの機会」と捉え、次に活かせる人は成長します。失敗を過度に恐れ、安全策ばかり選んでしまう人には向いていません。
これら3つの質問に対して、「成長」「自分で動ける」「チャレンジできる」と答えられる人は、ベンチャー企業で大きく飛躍できる可能性があります。
まとめ。「ベンチャーはやめとけ!」という声に惑わされないで

冒頭でお伝えした通り、「新卒でベンチャー企業には絶対に行くな!」という声は確かに存在します。そして、そうした警告には一理あるのも事実です。
しかし、他人の意見はあくまで他人の意見です。その人にとっての正解が、あなたにとっての正解とは限りません。大企業が合う人もいれば、ベンチャー企業が合う人もいる。それだけのことです。
重要なのは、他人の意見に流されるのではなく、自分自身で情報を集め、考え、納得した上で決断することです。
私自身、周囲から「ベンチャーなんてリスクが高い」「大企業にいた方が安定している」と何度も言われました。しかし、実際にベンチャー企業で働いてみて、得られた経験とスキルは計り知れないものがありました。もし周囲の声に従って大企業に留まっていたら、今の自分はなかったと確信しています。
「ベンチャー企業やめとけ」という声の裏には、「失敗してほしくない」という善意があることが多いです。しかし、失敗を恐れて何もチャレンジしないことの方が、長期的には大きな損失かもしれません。
人生は一度きり──後悔しない選択を
あなたのキャリアは、あなたのものです。親が決めるものでも、先輩が決めるものでも、世間の常識が決めるものでもありません。
「本当は挑戦してみたいけど、周りが反対するから」という理由で諦めてしまうのは、とてももったいないことです。10年後、20年後に「あのとき挑戦しておけばよかった」と後悔しないために、今、一歩を踏み出してみませんか?
ベンチャー企業での経験は、たとえ最終的にそこを離れることになったとしても、決して無駄にはなりません。むしろ、その経験があなたの強みとなり、次のステージへの足がかりになります。
大企業からベンチャー企業への転職は可能ですが、ベンチャー企業から大企業への転職も十分に可能です。一度ベンチャー企業を経験したからといって、他の選択肢が閉ざされるわけではないのです。
さあ、あなたの一歩を踏み出そう
この記事を読んで、少しでもベンチャー企業に興味を持ったなら、まずは小さな一歩から始めてみてください。
転職サイトに登録してみる、ベンチャー企業の求人を眺めてみる、キャリアアドバイザーに相談してみる。どんな小さなアクションでも構いません。大切なのは、今日、何か一つでも行動を起こすことです。
行動しなければ、何も変わりません。しかし、小さな一歩を踏み出せば、新しい世界が見えてきます。そして気づいたときには、あなたは想像もしなかったような場所に立っているかもしれません。
「新卒でベンチャー企業には絶対に行くな!」──この言葉を鵜呑みにするのではなく、自分の目で確かめ、自分の頭で考え、自分の心で決断する。そんな主体的なキャリア選択ができる人こそが、どんな環境でも活躍できる人材です。
ベンチャー企業は、確かにリスクもあります。しかし、そのリスクを上回るほどの成長機会、やりがい、自由があるのも事実です。安定を取るか、成長を取るか。その選択に正解はありません。あるのは、あなたにとっての最適解だけです。
最後にもう一度お伝えします。この記事が、あなたのキャリア選択の一助となれば、これ以上の喜びはありません。ベンチャー企業という選択肢を、ぜひ前向きに検討してみてください。そして、後悔のない、あなたらしいキャリアを築いていってください。
あなたの挑戦を、心から応援しています。
